わが忘れなば

備忘録の意味で。タイトルは小沢信男の小説から。

多様性か業績か-科学における「キャンセルカルチャー論争」(3)

以前、ウクライナ出身でアメリカで活動している理論化学の研究者 A. クリロフの「科学を政治化する危機」と言うオピニオンに端を発する 2021 年から 2022 年にかけての論争について2回に及んで紹介した。科学における「キャンセルカルチャー」論争 - わが忘…

ニック・ボストロムの「昔のメール」事件

今年一月の半ば、オックスフォード大学の哲学者ニック・ボストロムが、過去に書いた差別的なメールについて突然謝罪を発表するという騒動があった。ボストロムは、人間原理や人類の存亡リスクなどに関する研究で有名な人物で、このブログでも何度か取り上げ…

反PC本の歴史

時ならぬ反PC本の翻訳ラッシュによって、反PC本というか、アンチ・ポストモダン本、アンチ・フェミニズム本の系譜が気になった。某所で見たリストに自分で何冊か付け加えてみた。(読んだ本のリストではないですよ、為念。本の preface や書評を読んでピック…

「科学と政治が不可分なら、我々はただそのことを受け入れなければいけないのか、それとも積極的に政治は科学に介入すべきなのか」-「キャンセルカルチャー」論争続編

前回の記事で 2021-22 にかけてアメリカ化学会の発行する学術誌で起きた「キャンセルカルチャー」をめぐる論争について、大雑把なものながら紹介をした。反応を見ると、「科学の政治化」を憂い、「キャンセルカルチャー」批判を行う側のアンナ・クリロフに共…

科学における「キャンセルカルチャー」論争

最近、英語圏において物理化学系の学術誌に発表されたあるエッセイを起点として、こんな専門誌を舞台に意外な、と思うほどの盛り上がりを見せた論争が起きた。それは、「キャンセルカルチャー」を巡るものなのだが、日本語圏ではこの論争についてほとんど紹…

台風後の荒川放水路

隅田川から北千住の帝京科学大の辺を回って、荒川放水路の土手を小菅の対岸のあたりまで見て来ました。 時間かアシ(自転車)があったら、岩淵水門辺まで行きたかったのですが、その後用事があったので、止めました。隅田川です。いつもより水がなみなみにな…

『楢山節考』(木下恵介)、『ロケットマン』

木下恵介監督の『楢山節考』。北千住のブルースタジオの木下恵介特集で。 オールセットで、台詞回しも舞台みたいな感じ、しかも義太夫がかかっていて、黒子の口上で始まるのにビックリしました。 エルトン・ジョンの伝記映画『ロケットマン』。 なかなか面白…

『ゴーストランドの惨劇』

8/17 (土)に、新宿武蔵野館に、パスカル・ロジェ監督の『ゴーストランドの惨劇』を観てきました。なかなかのイヤーな気持ちになるショッキング性のある作品でした。パスカル・ロジェ監督の『マーターズ』の残虐描写と『トールマン』のようなトリッキーな展開…

『麻雀放浪記2020』

土曜日(4/6)に、『麻雀放浪記2020』を観てきました。 映画の始まる前に、「この映画には麻薬取締り法違反の疑いで逮捕されたピエール瀧容疑者が出演します。鑑賞前にご承知ください」みたいな文字が出てきました。劇場は閑散としていました。僕を含めて、4-5…

秋草俊一郎『アメリカのナボコフ―塗りかえられた自画像』

去年のうちによんだ。アメリカ時代以後のナボコフの作家としての活動(死後の活動、つまり遺族による遺稿出版などの活動も含む)と受容について研究した本。亡命ロシア人社会では有名だが英語圏では無名の作家という状態でナチスを逃れてアメリカに渡ったナ…

『黒き微睡みの囚人』

読み終わった。政変によってドイツを追われたヒトラーがロンドンで私立探偵をするという歴史改変小説。 という内容の夢をアウシュビッツの収容所にいる(実在の、しかし本当の歴史では戦争のはじまる前に死んだ)ユダヤ人作家が見ているという歴史改変小説、…

最近買った本と今読んでいる本

風疹抗体検査の結果きた。抗体価 256 倍とのこと。『黒き微睡みの囚人』は、2/3 程度で止まってしまった。今は、『From Bacteria to Bach and Back』を 読んでいる(p.70 程度まで)『掟破りの数学』掟破りの数学 ―手強い問題の解き方教えます―作者: Sanjoy …

Karplus, Delbruck, Feynman

この話は、カープラスは、↓ のリンク以外でも、していた。ハーバードの有名教授がインタビューを受けるシリーズでも話していた。Martin Karplus - Biographical - NobelPrize.orgカープラスは、2013 年のノーベル化学賞受賞者。Delbruck と Feynman も言わず…

某郊外

朝、某用事で某郊外へ。駅前に広がっているバスターミナルと建設中のショッピングモールがいかにも郊外!って感じだった。 小学校の校庭の桜がもう咲いていた。朝霞が近いので朝霞->駐屯所->赤衛隊事件->『マイバックページ』という連想をした。日曜日に Dan…

最近読んだ本と読んでいる本

のうちいくつか。ラヴィ・ティドハー『黒き微睡みの囚人 』有楽町の三省堂で 1 月 30 日に買った。通勤中の車内と週末で、100 ページほど読んだ。 1933 年に政変が起きて、ヒトラーが失脚し、共産主義ドイツが誕生。ヒトラーは、イギリスに亡命し、私立探偵…

はてなダイアリーをはてなブログに統合

はてなダイアリーが一月に更新終了、はてなブログへの移行期限も 2 月 22 日までとのことなので、日記を中心に書いていたダイアリーの方をはてなブログにインポートした。けど、ダイアリーの下書きが、見えなくなってしまったんだよなぁ...

梅田のジュンク堂にて

松田円『りふじんなふたり (1)』 りふじんなふたり(1) (バンブーコミックス) [ 松田円 ]ジャンル: 本・雑誌・コミック > コミック > その他ショップ: 楽天ブックス価格: 810円あらたまい『ほおばれ!草食女子 (1)』ほおばれ!草食女子 1巻 (まんがタイ…

出張で、

九州へ。新幹線の中で中川右介『戦争交響楽 音楽家たちの第二次世界大戦』(朝日新書)を読んでいた。 昨日、寝付けなくて、4 時間くらいしか寝ていなかったので、すぐに眠ってしまったが。

ピーター・シンガー『あなたが世界のためにできる たったひとつのこと 〈効果的な利他主義〉のすすめ』(NHK 出版)

休みの間に、ピーター・シンガー『あなたが世界のためにできる たったひとつのこと 〈効果的な利他主義〉のすすめ』(NHK 出版)を読。エピソード豊富で、なかなか面白かった。最終章のパーフィットやボストロムを引いての議論が興味深い。あなたが世界のた…

『ヤクザと憲法』

十三の第七藝術劇場にて、土方宏史(「土」に「、」)『ヤクザと憲法』(東海テレビ)見。二つの取材対象を軸に展開するドキュメンタリー。一つは、大阪堺市に事務所を持つ指定広域暴力団東組の二次団体清勇会。もう一つは、元山口組顧問弁護士山之内幸夫。…

『映画秘宝』の田野辺さんのツィートで知ったのだが、管賀江留郎『「道徳感情はなぜ人を誤らせるか 冤罪、虐殺、正しい心」』という本が来月発売になるらしい。

管賀江留郎、8年ぶりの書き下ろし超大作「道徳感情はなぜ人を誤らせるか 冤罪、虐殺、正しい心」本文、できた!これで入稿、白焼きチェック、完成!発売は5月!— tacopettei/田野辺 (@tacopettei) 2016年4月20日これって、去年の 10 月に刊行予告されていた…

8 月からの仕事が、

完遂できた... よかったわー... 今は、12 月からの仕事と、4 月からの仕事と、これから本格開始する仕事と、雑務だな。

梅田のジュンク堂で買った本

田上孝一「マルクス疎外論の視座」森田邦久「理系人に役立つ科学哲学」Steven Pinker "The sense of style"マルクス疎外論の視座作者: 田上孝一出版社/メーカー: 本の泉社発売日: 2016/01/21メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (2件) を…

『変分原理と物理学』

鈴木増雄先生の本が出ていたのを年末に見つけていたので買った。変分原理と物理学作者: 鈴木増雄出版社/メーカー: 丸善出版発売日: 2015/12/24メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (2件) を見る

1/4 日に、実家から戻ってきて、そのまま職場に。

しかしナントモ、年明けから無用のトラブルが2件続けて起きて、その対処に追われるというね... (そういえば、実家から戻ってくるときにも小規模なトラブルが... )6, 7 日と連続で、27 時過ぎだからナ... (というか、今週は、その日のうちに帰った試しが..…

うーむ、週記のペースすら守れていない...

昨日(12/25)仕事納めで、今日帰郷。

Speech In Favor of Capital Punishment (1/3)

J・S・ミルの「死刑を擁護する演説」(John Stuart Mill, Speech in favor of capital punishment - PhilPapers)を訳しつつ読んでいるんだけど、忙しくて終わらないので、最初の 1/3 くらいだけブログに載せちゃおう。 読むだけは、もう少し先まで読んでる…

最近買った本

伊勢田哲治・なつたか『マンガで学ぶ動物倫理: わたしたちは動物とどうつきあえばよいのか』島田裕巳『お経のひみつ』Owen Jones "The Establishment"マンガで学ぶ動物倫理作者: 伊勢田哲治,なつたか出版社/メーカー: 化学同人発売日: 2015/11/16メディア: …

8 月からの仕事がひと段落した

ので、ホッ。しかし、日記ならぬ、週記のペースだ。

最近買った本

芦田均「第二次世界大戦外交史」(上)モンテニュー「エセー」(1)三上小又「ゆゆ式」(3)ノッツ「センチメンタル・ミー」 (1)第二次世界大戦外交史(上) (岩波文庫)作者: 芦田均出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2015/11/18メディア: 文庫この商品を含むブ…