タイトルは、小沢信男の小説から採った。
小説「わが忘れなば」は、晶文社から出た単行本『わが忘れなば』またその後に出た『東京の人に送る恋文』に収められた。
*この道を泣きつつわれの行きしこと わが忘れなばたれか知るらん
という短歌をめぐるカメラマンの青年と作家の書簡体小説。
ちなみに短歌の作者は、田中克己。
小沢信男の名前を初めて知ったのは、花田清輝の『冒険と日和見』(増補版、創樹社)でだった。
(紹介されていたのは、「盧生都へ行く」など。)
他にも『冒険と日和見』で知った作家・作品は多い。
徳永直の「日本の活字」(『光をかかぐる人々』、三省堂)や伊藤人誉の「穴の底」(『人誉幻談 幻の猫』、亀鳴屋)もこの本で知って読んだ。
李劼人や小林勝などこの本で知ってまだ読めていない作家もいる。