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わが忘れなば

備忘録の意味で。タイトルは小沢信男の小説から。

「アイン・ランドの著作と哲学への読者案内」

 アイン・ランドの"Anthem"のペーパーバックを買ったら、ランドの生涯や著作についての簡単な解説が巻末についていた。町山智広『99%対1% アメリカ格差ウォーズ』(2012、講談社)に紹介されていた Anne Conover Heller の"Ayn Rand and the world she made(2010,Ancor)"(『アイン・ランドと彼女の作った世界』) を今度読んでみようかなと思っているので予習として読んで、一部訳してみました。(そんなに目新しい情報はありませんが。。)

Ayn Rand and the World She Made

Ayn Rand and the World She Made

アイン・ランドの著作と哲学への読者案内

  1. アイン・ランドについて

 アイン・ランドはロシアのセント・ペテルスブルグに、1905 年 2 月 2 日に生まれた。六歳の時に、読書を覚え二年後にフランスの子供向けの雑誌のなかに最初のフィクションのヒーローを発見した。それから英雄のヴィジョンを捉える事が彼女の生涯の一貫した支えとなった。九歳の時に、彼女は小説家になることを決意した。ロシア文化の神秘主義と集団主義への徹底した反感から、彼女は自分をヨーロッパの作家として考えていた。特にウォルター・スコットや、彼女が崇拝していた作家、ヴィクトル・ユーゴーに出会ったからその思いは強くなった。
 高校生のときに、ランドはケレンスキーの革命(彼女はこれを支持した)と 1917 年のボルシェビキの革命の両方の目撃者となった。戦禍から逃れるために、家族はクリミアへ渡った。彼女はそこで高校を終了した。最終的に共産主義者が勝利したことによってランドの父の薬局は没収され一家の窮乏に近い生活を強いられた。高校時代の最後の年にアメリカの歴史を教えられたとき、彼女は直ちにアメリカを自由な人間の国のあるべき姿の規範として捉えるようになった。
 一家がクリミアから帰還し、ランドはペテログラード大に入学し哲学と歴史を学んだ。灰色の生活の中で、彼女の大きな楽しみがヨーロッパの映画と演劇を見ることだった。映画ファンが高じて、彼女は国立映画学校に入学し局本の勉強をした。
 1925 年、ランドはアメリカ合衆国の親せきに会いに行くという名目でソ連邦を離れる許可を得た。ソビエト当局には滞在は短いものになると伝えていたが、もうロシアに戻らないことを決意していた。1926 年の 2 月にニューヨークに到着しシカゴの親戚のもとで六カ月を過ごしたあと、ビザの延長を手に入れ、脚本家としての仕事を得るためにハリウッドへ向かった。
 ハリウッドについて二日目に、セシル B. デミルが事務所の前に立つランドを見つけた。彼は、映画『キング・オブ・キングス』のセットに立つことを彼女に命じ、最初はエキストラの次にスクリプト・リーダーの仕事を彼女に与えた。その次の週のうちに彼女はある俳優とであった。フランク・オコナー、ランドと 1929 年に結婚することになる人物だった。結婚生活は彼の亡くなるまで五十年間に渡って続いた。
 何年間かの苦闘の日々―執筆以外の様々な仕事をした―最初の映画脚本『赤いポーン』(Red Pawn)が 1932 年にユニバーサル・スタジオに売れた。さらに彼女の最初の舞台劇『一月 16 日の夜』(Night of January 16th)がハリウッドで、続けてブロードウェイで上演された。最初の小説、『われら、生きるもの』(We the Living)が 1933 年に完成したが何年間も出版社に拒絶されつづけ、遂に合衆国ではマクミリアンから英国ではキャッセルから 1936 年に出版された。もっとも自伝的要素の濃い、ソビエト時代の生活をもとにした『われら、生きるもの』はアメリカの知識人や批評家からはあまり受けが良くなかった。アイン・ランドは、半ば共産主義者に文化が支配されていた「赤い十年間」に反する存在だった。
 1935 年に『水源』(The Fountainhead)の執筆を始めた。建築家ハワード・ホークの特性のうちに、彼女ははじめて、自分の執筆の目標である英雄的人物の描写を成し遂げた。理想的な人物、「あるべき存在であり、なすべきことをなす」人物の描写を。『水源』は 12 の出版社に拒絶され、最後にボブス・メリルから刊行された。 1943 年に出版されるとまるまる二年間ベストセラーとなりつづけ、一つの歴史的事件となった。著者は個人主義のチャンピョンとして認識されるようになった。
 1943 年にハリウッドに戻ったアインランドは『水源』の映画化脚本を執筆したが、戦争のため映画の製作は 1948 年まで延期された。製作者のハル・ウォリスのために脚本家としての仕事をしながら、1946 年に大作『肩をすくめるアトラス』(Atlas Shrugged)の執筆を始めた。1951 年にニューヨークに戻ったランドは、『肩をすくめるアトラス』の完成に全精力を傾けた。
 1957 年に出版された『肩をすくめるアトラス』は彼女の最大の達成であり、フィクションとしては最後の作品となった。この小説で、彼女は自分の独特な哲学を知的なミステリー小説の形で提出し、倫理、形而上学、認識論、政治、経済、そして性について語った。彼女は自分のことを本質的にはフィクションの作家だと考えていたが、自分の英雄的なキャラクターたちを造形するためには、そのような諸個人を可能とする哲学原理を確立する必要を認識していた。彼女には「この地上で生きる者のための哲学」を形作る必要があった。
 それ以後は、アイン・ランドは自分の哲学―客観主義についての執筆と講演を行った。 1962 年から 1976 年の期間は自分の定期刊行雑誌に執筆をし、編集した。客観主義と文化への客観主義の応用についてのエッセイを九冊の本にまとめて出版した。アイン・ランドは、1982 年の 5 月 6 日にニュー・ヨークのアパートで亡くなった。
 アイン・ランドが生涯のうちに出版した全ての本は今日でも印刷され、毎年何十万部も売れている。今日までの総発行部数は二千万部にもなる。彼女の人間観と地上に生きる者のための哲学は何千もの読者の人生を変え、アメリカ文化に大きなインパクトを与える哲学的ムーブメントを巻き起こした。

  1. 客観主義のエッセンス

(省略)

  1. アイン・ランドの著作

(タイトル以外は省略)
長編小説
『肩をすくめるアトラス』(1957)

肩をすくめるアトラス

肩をすくめるアトラス

Atlas Shrugged

Atlas Shrugged

『水源』(1943)

水源―The Fountainhead

水源―The Fountainhead

The Fountainhead

The Fountainhead



『アンセム』(1938)

藤森かよこの日本アイン・ランド研究会-論文トップ (<- 日本語訳)

Anthem

Anthem

Ayn Rand's Anthem: The Graphic Novel

Ayn Rand's Anthem: The Graphic Novel

『われら生きるもの』(1936)

われら生きるもの

われら生きるもの

We the Living

We the Living

その他のフィクション
『一月十六日の夜』(1934)

The Night of January 16th

The Night of January 16th

Three Plays: Night of January 16th / Ideal / Think Twice

Three Plays: Night of January 16th / Ideal / Think Twice

『初期のアイン・ランド(1984)

哲学一般
『新しい知識人たちへ』(1961)

For the New Intellectual: The Philosophy of Ayn Rand (50th Anniversary Edition) (Signet)

For the New Intellectual: The Philosophy of Ayn Rand (50th Anniversary Edition) (Signet)


『哲学:誰が必要としているか』(1982)

Philosophy: Who Needs It (The Ayn Rand Library)

Philosophy: Who Needs It (The Ayn Rand Library)

『理性の声:客観主義の思想についてのエッセイ』(1989)

The Voice of Reason: Essays in Objectivist Thought (The Ayn Rand Library)

The Voice of Reason: Essays in Objectivist Thought (The Ayn Rand Library)

認識論
『客観主義の認識論入門』(1990)

Introduction to Objectivist Epistemology: Expanded Second Edition

Introduction to Objectivist Epistemology: Expanded Second Edition

倫理
『利己主義の美徳』(1964)

利己主義という気概ーエゴイズムを積極的に肯定するー

利己主義という気概ーエゴイズムを積極的に肯定するー

The Virtue of Selfishness (Signet)

The Virtue of Selfishness (Signet)

政治
『資本主義:知られざる理想』(1966)

Capitalism: The Unknown Ideal (Signet Shakespeare)

Capitalism: The Unknown Ideal (Signet Shakespeare)

『原始への回帰』(1971)

The Return of the Primitive: The Anti-Industrial Revolution

The Return of the Primitive: The Anti-Industrial Revolution

芸術および文学
『ロマンチック・マニフェスト(1969)

  1. アイン・ランドと客観主義に関する著作

(タイトル以外は省略)
アイン・ランド辞典:客観主義何から何まで(1986)
不吉な類似点:アメリカにおける自由の終わり(1982)
客観主義:アイン・ランドの哲学(1991)
アイン・ランド書簡集(1995)
フィクションの技術(2000)
ノン・フィクションの技術(2001)

  1. アイン・ランド協会について

(省略)