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わが忘れなば

備忘録の意味で。タイトルは小沢信男の小説から。

「男大空ハイライト」を発掘

今はなきとあるサイトの「雁屋哲アラカルト」というコーナにあった『男大空』というマンガのあるシーンのセリフをまとめたページを webarcheives から発掘してきました。

このページは、すごくナイスだと思うのになくなって読めなくなってしまうのは残念だったので発掘しました。

『男大空』は、少年サンデーに連載されて、小学館の新書版・メディアファクトリーの復刊・コンビニ本での復刊と知ってる限り三回出てます。コンビニ本は、最近の出版だからまだ手に入りやすいかも。

ぼくは、メディアファクトリーの版で読みました。

このマンガは、原作雁屋哲・作画池上遼一コンビの『男組』に続く作品で、ストーリーの大枠やキャラクターの設定をかなり前作から受け継いでいます。しかし、ただの二番煎じではなく、『男組』でやりのこしたことをやろうという作者の意志が感じられます。

その前作ではやれなかったことの一つが、この発掘したのシーンによく出ているように思います。

まあ、読んでいただければ、分かるのですが、実在した政治家兼軍人兼とある宗教の教祖(かな?)であった人物をモデルにした人物が出てきて、彼に対する当てこすりとなっています。

鬼堂凱というのが、『男組』の神流剛次に当たる人物で、大財閥の跡取りで、支配階級の頂点に立って日本を自分の思うままにしようと願う野望の持ち主です。

鬼堂軍四郎というのは、彼の父親で、大財閥の現当主です。凱の野望のために、日本を代表する名家である寿羅木家の娘と結婚させようとしているのが以下のシーンです。(軍四郎と凱は、『男組』の「影の総理」と神流の関係とは違って仲良し親子です。軍四郎が人質に取られたときに、凱が”その老人からはもう全てを受け継いだ。父にはもう用はない”とか言ったら、軍四郎が”よくぞ、言った、凱よ! それでこそ、わしの息子だ!! ワハハハハ!!!”とかいってコトキレたという心温まるエピソードも出てくるくらいの仲良しさです。<-記憶で書いているのでちょっと違うかも。。。)

最後の方に出てくる祭俵太というのが、『男組』の流全次郎に当たる本作の主人公で、凱の野望を打ち砕くために凱と闘います。(天涯孤独の少年刑務所受刑者の流全次郎と違って、俵太は新興財閥の当主の末息子です。日本の支配階級と闘おうとした俵太の父親は、物語の冒頭で鬼堂財閥によって暗殺されてしまいます。この関係は、『男組』とかぶります。)

≪男大空≫ハイライト (http://web.archive.org/web/20080913010142/http://mitleid.cool.ne.jp/suragi.htm)

 
鬼堂軍四郎「ハァー フゥー・・・」
 
鬼堂凱「父上、大丈夫ですか?」
 
軍四郎「まだ、急には死なん・・・ だが、長くはない。
わしは死ぬ前にもうひとつ——
お前のためにしておかねばならんことがあるのだ・・・
わしはお前に、巨大な額の金と力を残してやった。
しかし、ひとつだけ欠けているものがある!
それをお前はどうしても手に入れねばならんのだ!!」
 
「父上、私はもうこれ以上のものは、
必要ありません。」
 
軍四郎「凱っ! 何を子供じみたことをいうかっ!!
寿羅木家の力を侮ると、命取りになるのだぞっ!!」
 
「は、はい・・・ それは分かっておりますが・・・」
 
軍四郎「いや、まだよく分かっておらん・・・
凱、ようく聞け!
 
寿羅木家はたしかに一宗教の宗家にすぎない。
だがこの宗教、入門して宗徒たり得る者は、
政財界の実力者のみ!
 
しかも、日本でもかなり古い宗教のひとつに入る。
宗家の寿羅木家は、日本で最も古い家系のひとつだ。
 
日本史をひもとけば、
藤原時代から鎌倉、室町、戦国、徳川の各時代を通して、
時の権力者、実力者は、すべてこの宗教に入門して、
教皇から宗徒証状をもらうのがきまりだった。
 
つまり、寿羅木家の者と結婚し、
寿羅木一族と血縁関係を結ぶことによって
自らの地位を高めてきた。
それは、明治、大正、昭和の世になっても変わらん!
 
寿羅木家と縁戚関係を結んでおらぬ者は、
日本の政財界では一流とみなされない。
こうして、日本の政財界の実力者たちは、
寿羅木家を介して複雑に結びつく形になっている。
 
最初は飾り物としての意味しか持たなかった寿羅木家は、
支配階級と密接に結び付いた結果、
大きな力を持つようになってしまった。
寿羅木家の存在ぬきにして
日本の支配階級を語れぬまでになっている。
 
 
・・・わしの祖父の時に、寿羅木家の一族から嫁を迎えた。
しかし、本家の娘ではなかったし、
あまりそのことで寿羅木家と縁が濃いとはいえぬ。
 
だから今、新たに寿羅木家の者を鬼堂家に迎え、
日本の支配階級の中でも
鬼堂家の地位を名実ともに最高のものに、
不動のものにせなばならぬのだ!」
 
「・・・分かりました。」
 
軍四郎「凱、これがうまくいけば、お前に欠けるものは
何ひとつなくなる!」
 
「日本の支配階級の者すべてが憧れ崇め奉る
寿羅木家の力を借りて、
私の意図することができるのですからね。」
 
軍四郎「そうだ、そしてこれがわしのお前への
最後の贈り物となるだろう。」
 
「父上、それほどまでに私のことを・・・」
 
軍四郎「凱、お前はわしの希望、わしの誇り、
わしの夢を成し遂げる英雄。
わしのすべてなのだよ。」
 
 
寿羅木君彦「なるほど・・・
あなたのところと・・・私のところは、
遠い親戚関係にあるけれど・・・
それをもっと深いものにしたい
というのか?・・・
 
軍四郎「さようでございます、教皇さま。」
 
寿羅木君彦「きみは何をしたいのか?」
 
「私ほどの若さで、これだけの力と金を持った者は、
日本の歴史上でもはじめてだと思います!
上限なしの金と力で、人間は一体何ができるのか、
試してみたいのです。」
 
寿羅木君彦「それは大変すてきなことですね・・・」
 
「法律も私が作りたい。刑罰も私の思うとおりにしたい。
経済も私の思うとおりに動かしたい。
人間——どれだけ巨大になれるか、
やってみたいのです!」
 
寿羅木君彦「あ、ああ・・・
それはほんとに、すてきなことですね。」
 
「ところが、そのためには邪魔者を倒さねばなりません。
たとえば、祭家の兄弟たち・・・」
 
寿羅木君彦「祭、祭、祭・・・・・・
知りませんね。
うちとは何の縁もありません・・・
何でも好きなようになさればいい。」
 
軍四郎「しかし、やり方はかなり手荒なものになります!
倒すのは祭家だけではなくなります!
だが、私ども鬼堂家が・・・
教皇さまと最も近い縁続きということになれば、
誰も文句はいえなくなります・・・」
 
寿羅木姫子「お父様、注射をして差し上げましょう。」
 
寿羅木君彦「あ、あ、姫子、
ありがとう・・・ ありがとう・・・
(バッ)
よおしっ、鬼堂凱といったな。
お前の嫁に、この私の末娘の姫子をやろうっ!」
 
軍四郎教皇さま、かたじけのうございます。
この感激、何と申し上げたらよいか・・・」
 
寿羅木君彦「ことばで礼をいってくれんでもよいわっ!
礼の手始めに姫子の体重と同じ重さの
プラチナと金塊を届けるのだっ!
本当の礼はそれからしてもらうっ!」
 
軍四郎「いかようなお礼でも・・・」
 
寿羅木君彦「これでお前たちが何をしようと、
支配階級の者たちは何ひとつ文句をいわんだろう!!
ブツ・・・ ブツ・・・ ブツ・・・」
 
寿羅木姫子「どう、私をお嫁さんにもらえてうれしいでしょう?
さあ、早く答えてよ。
私と結婚できてうれしいでしょ?」
 
軍四郎「凱・・・!!」
 
寿羅木君彦ブツ・・・ ブツ・・・ ブツ・・・
私はもうろくしてないぞ・・・
断じてもうろくはしていない・・・
 
ブツ・・・ ブツ・・・ ブツ・・・
世間はみんな私のことをもうろくしていると
思い込んでいるが、私ほど狡猾な人間はいない・・・
 
ブツ・・・ ブツ・・・ ブツ・・・
自分の身を守るために、すべての責任から逃れるために、
そのようなふりをしてきたのだ。

[<- ここがハイライト中のハイライトと思う。強調発掘者]
 
 
「寿羅木・・・・・・
父上のソファーに座り、父上のグラスで
父上の愛用の酒を・・・」
 
寿羅木君彦「あ、ああ・・・ 凱くん・・・
立派な屋敷ですね・・・
こ、こんな屋敷を頂いて悪いですね・・・
何もかも頂いてしまって・・・」
 
「おのれ・・・・・・
日本最古の家柄という権威を道具に
政財界の有力者たちと親戚関係を結び、
寄生虫のように生き延びてきた寿羅木家の
正体はこれかっ!」
 
祭俵太「これが寿羅木か!
この薄汚い老人が・・・
けっ、日本の政財界の有力者たちもどうかしてるぜ、
こんなみっともねえ老人をありがたがるなんてよ・・・」

責任を逃れようとする狡猾な人物として描ているのが凄い思うマス。

男大空 1 (My First WIDE)

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