わが忘れなば

備忘録の意味で。タイトルは小沢信男の小説から。

買おうかと思っていた、岩波文庫の『パンセ』だが、

(追記:第1刷は返品可?) 誤訳、訳し忘れなど多い欠陥商品です。
それでもこの訳本を買いますか?

出版社の宣伝文句をレビューに写している人がいますが、美辞麗句を鵜呑みにはできません。この本を買うぐらいなら、中公文庫の訳を買ったほうがいいです(安いですし)。
新しい訳のほうは、パスカルの文章を訳し忘れていたり、フランス語を誤解していたりする箇所が多くて、本当に東大名誉教授・学士院会員が15年もかけて訳したのかと疑問に思えてきます。

出版直後から上巻には幾多の間違い(誤訳、訳し落とし)があると指摘されましたが、中巻の出来もよくありません。上巻は増刷の際に大幅に修正した(中巻最終頁で列挙されている訂正7点はその一部にすぎないそうです)にもかかわらず第1刷を購入した読者に告知して交換するという措置はとられませんでしたから、読者の批判に従って中巻も増刷で修正するとしても、おそらく同様の殿様商売振りでしょう。ですから、欠陥本を手にしたくないなら増刷を待つか、正確で安くて1巻本という3拍子揃った中公文庫版(配列はブランシュヴィック版によっていますが前田陽一訳は自筆原稿と写本に基づいています)を購入する方が賢明でしょう。

どうも、誤訳や訳し落としが多いようだ...

上のリンクで言及されている書評は、松村剛という東大の先生のもので、

https://halshs.archives-ouvertes.fr/halshs-01185984/document
https://halshs.archives-ouvertes.fr/halshs-01188442/document
https://halshs.archives-ouvertes.fr/halshs-01194306/document

これのようだ。