わが忘れなば

備忘録の意味で。タイトルは小沢信男の小説から。

某郊外

朝、某用事で某郊外へ。駅前に広がっているバスターミナルと建設中のショッピングモールがいかにも郊外!って感じだった。
小学校の校庭の桜がもう咲いていた。

朝霞が近いので朝霞->駐屯所->赤衛隊事件->『マイバックページ』という連想をした。

日曜日に Daniel Dennett "From Bacteria to Bach and Back" を丸善で買ったので車中で少し読んだ。
買った後に、気づいたが、これ、翻訳が出ていたのね... 

最近読んだ本と読んでいる本

のうちいくつか。

ラヴィ・ティドハー『黒き微睡みの囚人 』

有楽町の三省堂で 1 月 30 日に買った。

通勤中の車内と週末で、100 ページほど読んだ。
1933 年に政変が起きて、ヒトラーが失脚し、共産主義ドイツが誕生。ヒトラーは、イギリスに亡命し、私立探偵になっている。生活のために行方不明の亡命ユダヤ人の女性を探す... という歴史改変小説。
ただ、その話自体が、現実のドイツでアウシュビッツの収容所にいるユダヤ人作家の妄想で... という小説。

フォルカー・ヴァイス/長谷川晴生訳『ドイツの新右翼

1 月 10 日に東京の丸善で買った。

半分くらいで、止まっているかな? 

木澤佐登志『ダークウェブ・アンダーグラウンド:社会秩序を逸脱するネット暗部の住人たち』

八重洲ブックセンターで買ったかな? 

こっちは、2/3 くらい。

カタジナ・デ・ラザリ=ラデク、ピーター・シンガー/森村進森村たまき訳『功利主義とは何か』

1 月 18 日に八重洲ブックセンターで買った。
Very Short Introduction の翻訳。

去年原書を買ったのだが、読みきらないうちに翻訳が出てしまった。翻訳の方もまだ読み途中だが、ちょっと止まっている。

John Carreyrou、"Bad Blood: Secrets and Lies in a Silicon Valley Startup"

去年の 11 月 13 日に、丸善で買った。
13-27 日で読了。

何年か前に起きた Silicon Valley のスタートアップのスキャンダル。
バイオ系の新技術の会社というのが今風だ。

この本は、大変面白かったので、いつか詳しく感想を。

秋草俊一郎『アメリカのナボコフ

去年買った。往来堂で買ったのかな? 

この本は、だいたい読み終わった。
この本も面白かった。”ナボコフについての本”は、ぼくは、今まで若島正の書いたものを多く読んで来てそれらを先に読んでナボコフに興味を持ったのだが、ナボコフとの距離感がまたちょっと違って大変新鮮だった。

ナボコフの翻訳は、さいきん出版ラッシュな感じで新潮社の選集も『アーダ』の新訳も、Pale Fire の新訳も出ているけど手に取っていなかった。

エッセイ集の『ナボコフの塊』と自伝『記憶よ語れ』の新訳は、まだ大阪にいた時に出た時に買って、拾い読みした、今は、まだ、ダンボールの中。

実は、ちょっと、ナボコフに食傷気味だったのだが、この本を読んでまた読めそうな気がして来た。

黒き微睡みの囚人 (竹書房文庫)

黒き微睡みの囚人 (竹書房文庫)

ドイツの新右翼

ドイツの新右翼

功利主義とは何か

功利主義とは何か

Bad Blood: Secrets and Lies in a Silicon Valley Startup

Bad Blood: Secrets and Lies in a Silicon Valley Startup

アメリカのナボコフ――塗りかえられた自画像

アメリカのナボコフ――塗りかえられた自画像

はてなダイアリーをはてなブログに統合

はてなダイアリーが一月に更新終了、はてなブログへの移行期限も 2 月 22 日までとのことなので、日記を中心に書いていたダイアリーの方をはてなブログにインポートした。

けど、ダイアリーの下書きが、見えなくなってしまったんだよなぁ...

梅田のジュンク堂にて

松田円『りふじんなふたり (1)』

あらたまい『ほおばれ!草食女子 (1)』

永谷脩の仕事

を購入。

出張で、

九州へ。

新幹線の中で中川右介『戦争交響楽 音楽家たちの第二次世界大戦』(朝日新書)を読んでいた。
昨日、寝付けなくて、4 時間くらいしか寝ていなかったので、すぐに眠ってしまったが。

ピーター・シンガー『あなたが世界のためにできる たったひとつのこと 〈効果的な利他主義〉のすすめ』(NHK 出版)

休みの間に、ピーター・シンガー『あなたが世界のためにできる たったひとつのこと 〈効果的な利他主義〉のすすめ』(NHK 出版)を読。

エピソード豊富で、なかなか面白かった。

最終章のパーフィットやボストロムを引いての議論が興味深い。

『ヤクザと憲法』

十三の第七藝術劇場にて、土方宏史(「土」に「、」)『ヤクザと憲法』(東海テレビ)見。

二つの取材対象を軸に展開するドキュメンタリー。一つは、大阪堺市に事務所を持つ指定広域暴力団東組の二次団体清勇会。もう一つは、元山口組顧問弁護士山之内幸夫。

「・謝礼をしない。・事前にテープを見せない。・モザイクをかけない。」をルールに作成されたという。

前半は、主に、清勇会の組事務所や組員たちの日常風景を映す。清勇会の会長川口和秀は、この映画のテーマである暴対法の成立のきっかけとなった事件で懲役 22 年の刑を受けた人物だ。その事件とは、山口組との抗争において、清勇会の組員が発砲し流れ弾で 19 歳の女性が死亡したというもの。

川口和秀が新世界のいきつけ居酒屋にいったり、「ここでデビューしたんだ」という話をするシーンが映されている。普段の川口は、ダウンにボディバックという格好だった(組の事務所に来る時も)。組員の中には、いかにもコワモテな風貌の人物もいたが、川口は、街で見てもヤクザの組長とは思わないだろうなと思った。(ちなみに「デビュー」というのは、16 歳の時に手打ちの席で暴れ出した相手型の組員の両足に銃を打ち込んだというもの)いきつけの居酒屋の女性店主は、「(ヤクザの親分である川口が)怖くないですか?」という取材者の問いに「こわいもんか。怖かったら、新世界でお店出せないよ。(川口が)守ってくれるんだもの。警察なんてなにも守ってくれないよ」と。

清勇会の組員では、若頭、舎弟頭、その他の組員たちの他に、二人の部屋住み組員の姿が取り上げられている。部屋住みというのは、まだ自分で稼げないので、事務所に住み込んでこずかいなどももらう代わりに掃除などの事務所の仕事をするもののことだという(ちなみに、部屋住みの小遣い(煙草代)は、月 2 万円だそうだ)。特にフォーカスされていたのが、(取材当時)21 歳の部屋住みの組員。この人は、まだ 10 代の時に東組の本家にヤクザを志望して訪ねて、清勇会を紹介されて部屋住みとなったそうだ。60 代のよくハットをかぶっている舎弟頭が、「俺が親代わりなんだ」といってた。また、後半のシーンで、舎弟頭と酒を酌み交わして、「お前見たいに、10 代でヤクザになりたいってやつが昔もいたんだよ」とか、「お前がしっかりしてくれないと、(俺は)おもしろくないんだよ」とか親役らしい対応が映されていた。

この人は、宮崎学の『突破者』に憧れてヤクザになりたいと思ったようだ。事務所を徹底的に綺麗にしたり、お茶を出したり、食事を作ったりまさに部屋住みとしての仕事をしているシーンが映されている。夕刊を捨ててしまったり、何かの不始末なのか、奥の部屋に連れ込まれて、明らかに殴られているシーンすらあった。

もう一人の部屋住みは、昭和 30 年代生まれの人物で、割と最近刑務所から出てきた人物。この人が冒頭のシーンで事務所での生活を案内してくれていた。事務所は、一階部分が二階の高さにあって階段で上っていくようになっているつくり(本来の一階は、駐車スペース)。扉は鉄(?)製で上が降りるようになっている。一階に応接間や監視用モニター、壁にくくりつけのテレビなどがあり、事務所として機能しているようだ(定時連絡のハンコを押す表も)。どうでもいいが、監視用モニターの日付が「2036/1/30」になっていたのがちょっと気になった(後半の家宅捜索シーン)。

二階に部屋住みの生活スペースがあって、「任」「侠」「道」とかかれた軸(?)や本棚、風呂場などがある。天気のいい時は屋上に洗濯物を干すらしい。本棚は、普通の文庫本や親分の本が並んでいるそうだが、正延哲士最後の博徒』が何冊もあった。これは、刑務所の再仕入れらしい。そのほかに可愛い動物の写真が入った本もあって、刑期中の癒しだそうだ。

取材者は、案外に素人っぽく、ヤクザの組織図を説明してもらっている時に「舎弟ってなんか下の法のイメージなんですが...」って言って、「イヤイヤ、自分たちの『オジサン』だから、エライよ! 」と言われていた。

若頭が主宰する定例会のようなものも映され、組の会計報告や「誰々が直参になりました」とか「絶縁処分にしたものがまだ大阪にいるようなので、改めて大阪所払いの知らせを出しました」とか報告していた(ちなみに、部屋住みの小遣いもこの席で渡されていた)。

テレビの高校野球やニュースを見ながら、「えっ、工藤会の総裁つかまったよ・・・」とか、新聞を読んで、「文太死んだのか、81 歳とは。もうちょっと若いかと思っていた」とか会話するシーンもあった。

そのほかの組員では、東組のお墓の掃除をしている組員の様子などが自宅とともに映されていた。この組員は、アルバムに映る 25 歳頃の家庭を持った「一番楽しかった時期」や貧しかった子供時代の写真を見せてくれた。中学を出て働き出したが、 食べられなくなった時に助けてくれたのは今の「アニキ」だけなので、ヤクザになったことに迷いはなかったという。

もう一人の主役の元山口組顧問弁護士の山之内幸夫も、家は小さい商売をしていたが貧しかったので、一回負けたところから再生を図ろうとするヤクザに共感するところがあるのが、ヤクザの弁護をする理由かもしれないという。

山之内が顧問弁護士になったキッカケは、五代目山口組の若頭・宅見勝の慫慂だという。

山之内の事務所は、最盛期には五人の事務員がいたが、今は山之内と同年輩くらいの女性の一人しかいない。山口組から莫大な顧問料をもらっていないのかという問いにその人は「月 10 万円だよ。ヤクザは、いまお金ないもの」答えていた。

山之内の事務所の経営が苦しくなってしまったのは、山之内が脅迫で起訴されて、7 年間も裁判で戦っていたためだ。宅見勝の事務所の近隣住民に数千万円を要求したというものだが、警察の証拠のでっち上げなどもあったらしく、140 人の弁護団が組織され、無罪になった。しかし、仕事の依頼は、激減してしまったという。

山之内は、事務所を案内してくれたが、デスクには「アサヒ芸能」などのヤクザ情報豊富な週刊誌が散乱していて、書庫には、法律関係の本の他に『ミナミの帝王』の VHS が並んでいた。山之内が法律監修をしているのだそうだ。

また、現在は妻と別居していて、自宅ではコンビニで買った惣菜やおでんを夕食にしていた。三浦友和が主演を務めた自作を原作とした映画『悲しきヒットマン』のホスターも飾られていた。

そして、山之内は、取材時にも自分が被告人の事件を抱えていた。組のトラブルの関係で、倉庫のドアを壊すように指示したという「器物損壊教唆」で起訴されていた。もし、禁固刑以上の罪で有罪になると弁護士資格を失うという。

昔の事件も現在の事件も、暴力団の顧問弁護士を潰すためのフレームアップだと山之内山之内の弁護士は考えているようだ。

一方の清勇会でも、警察のフレームアップによる組員の起訴・事務所の家宅捜索という”危機”を迎えていた。

組員が、クルマが壊れたので、保険会社に保険を降ろすように頼んだら、わざとクルマを壊した詐欺ではないかと疑われてなかなか保険金が下りない。
「こんな、微々たる保険金のために自分のクルマを壊したりしないですよ」と組員は、取材者に語ったが、詐欺未遂で逮捕されてしまい、組事務所も家宅捜索になった。その捜査のシーンもキャメラは追うのだが、警察官のなかなか厳しい抵抗に遭ってしまう。

暴対法のキッカケとなった川口は、各地から、暴力団構成員ということで受ける人権侵害についての情報を集めていた。

取材者に、プリントアウトされた君を見せながら、「暴力団員ということで子供が保育園に入れない」「出前が届かない」「保険金が下りない」「配送してくれない」などの内容を説明してくれた。また、前日の山之内の弁護士も口座を作るときに「反社会的団体所属ではない」という判子を押してしまったために、詐欺で起訴されそうになった例などを話していた。

川口と取材者は、家宅捜査された後の組事務所(警察官がかけたカバーなどがある。「触るな」ということ? )のなかで窓のそばで、

「ヤクザには、人権はないみたいなもんじゃないか。いっそなにもかも無くしてくれりゃいいよ」

「でも、絶対ヤクザをやめたらどうだ、って言われますよね」

「やめた先がないじゃないか」

という会話を交わした。

暴対法では、暴力団をやめても構成員として扱うのだという。