わが忘れなば

備忘録の意味で。タイトルは小沢信男の小説から。

2013-02-01から1ヶ月間の記事一覧

アンスコム「トルーマン氏の学位」 (1/2)

イギリスの哲学者、G.E.M.アンスコムと原爆投下を批判したアンスコムの論文「トルーマン氏の学位」について知ったのは、三浦俊彦『戦争論理学』(二見書房)と加藤尚武『バイオエシックスとは何か』(勁草書房)を読んだとき。(どちらを先に読んだかは、忘…

批評や批判が自分に当てはまることを”ブーメラン”で例えたのは、花田清輝が最初!?

よく、批判が発言者にも当てはまってしまうことや発言者自身にこそふさわしい批判をしてしまったことを風刺して「ブーメラン」という表現を使うのをインターネット上の論争などで見るけれど、(ぼくのTL上でも昨日、一昨日と一回ずつ見た)いつごろから使われ…

”政治家”昭和天皇の政治的意思と能力―”立憲君主”の”戦争責任”

前回の記事について、twitter上で Kodama Shigeaki( @takosantaro )さんに永井和『青年君主昭和天皇と元老西園寺』(京都大学学術出版会,2003)とApeman さんのブログ記事を、また id:Apeman さんからもコメント欄にて、Apeman さんのブログ記事における…

昭和天皇による田中義一内閣倒閣‐半藤一利『昭和史』をもとに

張作霖爆殺事件の責任者の処分を巡って、昭和天皇が田中義一首相を辞職に追い込んだ経緯について、半藤一利『昭和史』(平凡社ライブラリー、2009、親本は平凡社、2004)をもとに簡単にまとめます。同書の第一章「昭和は”陰謀”と”魔法の杖”で開幕した‐張作霖…

ネオコンへの傾倒ぶりに驚き、戸塚ヨットスクール擁護には吐き気を覚えた‐鮎川信夫『時代を読む』を読んだ

週刊連載文春コラムの1982-85分、100篇を収めた鮎川信夫(1926-1986)『時代を読む』(1985、文藝春秋)を久々に読んだ。時代を読む―鮎川信夫・コラム批評100篇 1982~1985 (1985年)作者: 鮎川信夫出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 1985/04メディア: ?この商品…

『水野成夫の時代』

という本の存在に気づいていませんでした。近いうちに入手して感想を書きたいです。 やはり一番気になるのは、「財界の秘密組織」こと「共同調査会」の詳細ですが、『メディアの支配者』でも詳しいことはもう分からないような事が書いてあったので、期待はし…

『ナボコフの文学講義』からカフカ「変身」講義の感想

むかし、TBSブリタニカから出ていたナボコフの『ヨーロッパ文学講義』が、『ナボコフの文学講義』として河出文庫から上下巻で復刊された。原題は"Lecture on Literature"なので、今回の訳題の方が原題に忠実なタイトルだ。ナボコフが"Strong Opinions"で語っ…

田中角栄について二点メモー田中の憲法・再軍備観とロッキード陰謀論

ちょとしたきっかけで、田中角栄について、何冊か読み漁ったので、気になったことを忘れないうちにメモ程度にまとめておきたい。(最近読んだことをすぐ忘れる。)読んだのは、次の諸著作だ。 早野透『田中角栄 戦後日本の悲しき自画像』(中公新書,2012) …