2013-01-01から1年間の記事一覧
人間原理の哲学者で、「シミュレーション論法」とかでも有名な Nick Bostrom の著書 "Anthropic Bias"(2002)の第一章を訳しました。 誤訳などのご指摘、コメントをくだされば幸いです。(ブログのコメント欄か、プロフィールに書いてあるメール・アドレス(fr…
J.リチャード・ゴットIIIのImplications of the Copernican principle for our future prospects(Nature 363, 315 - 319 (27 May 1993); doi:10.1038/363315a0) 翻訳その(1)です。 この論文は、J.リチャード・ゴットIIIの『時間旅行者のための基礎知識』の…
人間原理関係の文献まとめのその(1)です。George.F.R.Ellis,"Editorial note to: Brandon Carter, Large number coincidences and the anthropic principle in cosmology",gen Relativ Gravit(2011)43:3213-3223 をもとにまとめました。(DOI とかリンクとか…
Brandon Carter 「巨大数の一致と宇宙論における人間原理」(3) - わが忘れなばの続きです。 第五章 世界アンサンブルと重力定数 最後の手段として、それ以上強い物理学的な言説がないときに、強い人間原理に基づいた予測を、「世界アンサンブル」という観…
Brandon Carter 「巨大数の一致と宇宙論における人間原理」(2) - わが忘れなばの続きです。 第四章 強い人間原理による予測 次は、第五章と議論を訳します。
Brandon Carter 「巨大数の一致と宇宙論における人間原理」(1) - わが忘れなばの続きです。第二章と第三章を訳しました。 2.伝統的な種類の予測Bondi のリストにある最初の「巨大数の一致」は、恒星の大きさや色はさまざまな種類に渡っているのに―白色…
人間原理を提唱した Brandon Carter の論文、"Large Number Coincidences and the Anthropic Principle in Cosmology - Springer"(1974)の序章("introduction")の翻訳です。ロバート・H・ディッケ 「ディラックの宇宙論とマッハ原理」―「物理学者を作るの…
ロバート・H・ディッケの論文"Dirac's Cosmology and Mach's Principle" (Nature 192, 440 - 441 (04 November 1961), doi:10.1038/192440a0) の翻訳です。[]内は訳注です。 論文といっても、 1 ページ強の「編集者への手紙」("Letter to editor")です。 …
小田実『何でも見てやろう』より引用。 戦後とみに威勢のあがらなくなった反動もあって、ヨーロッパ人は、一言にしていえば、かわいそうなほど、私のようなアカの他人にまでいささかソクインの情をもよおさしめるほどに、アメリカ、アメリカ人、アメリカの事…
いま、岡崎英生『劇画狂時代―「ヤングコミック」の神話』(飛鳥新社、2002)を読んでるんだけど、「宮谷一彦は、自分の熱烈なファンだった女子高生と恋愛した。この女子高生は、ある右翼の大物の娘で、恋愛中は宮谷は父親の反対で大変苦労したが、反対を押し…
V.ナボコフの『ストロング・オピニオンズ』("Strong Opinions"、1973)から、1968年9月3日に行われた Nicholas Garnham によるインタビューを紹介。(以前のナボコフや”ストロング・オピニオンズ”間連のこのブログの記事はここに。"ナボコフ" - 記…
石橋政嗣『非武装中立論』(社会新書、1980)を再読しました。twitter での感想。kohaku(@kohaku_nanamori)/「非武装中立論」の検索結果 - Twilog 最近、松元雅和『平和主義とは何か』(中公新書、2013)を読み、ここでの「現実主義と対話(対決)し…
7/11-12 で、坪内祐三『総理大臣になりたい』(講談社、2013)という(ちょっと妙なタイトルの)新刊を読みました。総理大臣になりたい作者: 坪内祐三出版社/メーカー: 講談社発売日: 2013/07/11メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (5件)…
別ブログを更新しました。佐々木実『市場と権力―「改革」に憑かれた経済学者の肖像』(講談社)感想と人名索引 - fromAmbertoZen の読書感想文です。
6/2-6/3で、経済学者竹中平蔵の評伝、佐々木実『市場と権力―「改革」に憑かれた経済学者の肖像』(講談社、2013)を読みました。市場と権力 「改革」に憑かれた経済学者の肖像作者: 佐々木実出版社/メーカー: 講談社発売日: 2013/05/09メディア: 単行本この…
しばらく記録をサボってました。松元雅和『平和主義とは何か』(中公新書、2013)は、twilog kohaku(@kohaku_nanamori)/「平和主義とは何か」の検索結果 - Twilogをみると、3/26-3/28 に読了していました。twitter に書いた感想から。 松本雅和『平和主義と…
ウラジミール・ナボコフのインタビューや編集者への手紙、雑誌に載せた記事を収めた本、"Strong Opinions"(1973)についてはこれまでも本ブログで何回か面白そうなところを取り上げてきた。たとえば、ここ”考えることは天才的、書くものは並はずれた作家の…
伊丹十三の『ヨーロッパ退屈日記』(ポケット文春)に出て来る小咄、電車で隣り合わせた紳士が耳にバナナを詰めていたので、意を決して「耳にバナナが詰まってますよ!」と言ったら「すみません、よく聞こえないんです。耳にバナナを詰めているもので」と返…
若宮啓文『忘れられない国会論戦―再軍備から公害問題まで』(中公新書、1994)という本を読んで、海上保安庁の役人で、四日市の水質汚染の原因企業であった石原産業を摘発し、その後美濃部都政で公害対策を担当した田尻宗昭という人を知った。この人が『忘れ…
『バートランド・ラッセル―情熱の懐疑家』の感想続き。 ウッドが、ラッセルの発想法や研究・執筆態度について述べている章「天才のしごと」で興味深い指摘があった。ラッセルは、最初に書いた原稿ですでに完璧な文章になっていて、ほとんど全く推敲というも…
アラン・ウッドによるバートランド・ラッセル(1872-1970)の伝記『バートランド・ラッセル―情熱の懐疑家』(1978、木鐸社)を読んだ。高村夏輝訳『哲学入門』(2005、ちくま学芸文庫)の訳者解説に、ラッセルの生涯を知るには「読み物として面白いのはアラ…
花田清輝「サラリーマン訓」(『増補・冒険と日和見』(創樹社、1973))が、会社社会における人間関係のあるべき姿としてとても示唆的だったので、感銘を受けた部分を一部引用してみました。 入社した以上、社長をはじめ、すべて、長と名のつく社の幹部諸君…
アイン・ランドの"Anthem"のペーパーバックを買ったら、ランドの生涯や著作についての簡単な解説が巻末についていた。町山智広『99%対1% アメリカ格差ウォーズ』(2012、講談社)に紹介されていた Anne Conover Heller の"Ayn Rand and the world she made(2…
1950年代半ばから1960年代初頭にかけて行われた、花田・吉本論争に関わりのある批評・著作を読んでいくシリーズとして、まず『復興期の精神』所収の「ユートピアの誕生」を読んだ。戦時下に連載され、戦後になって単行本として刊行された『復興期の精神』の…
『ナボコフの文学講義 下』(野島秀勝訳、河出文庫、2012)のフランツ・カフカ「変身」講義に、客観的な「現実」というものが主観的な現実を平均して抽出した産物でしかないと主張する、こんな見解が書いてあった。 「外套」、「ジキル博士とハイド氏」、そ…
アンスコム「トルーマン氏の学位」 (1/2) - わが忘れなばの続きです。 近刊の松元雅和『平和主義とは何か』(中公新書、2013)を読んだのですが、 平和主義に向けられる典型的な疑問にこたえる形で、平和主義を絶対平和主義と平和優先主義に分けて説明を精緻…
花田・吉本論争の全体像を把握したくなったので、未読・既読を含めて論争を論じた本を、ぼくの気付いた範囲でまとめてみた。自分用の読書計画表です。 ぼくの目にとまったものを挙げただけで、網羅的ではないです。他にもいろいろあるとは思うので、だんだん…
永井荷風の『摘録 断腸亭日乗』(磯田光一編、上下、岩波文庫)はいつも適当なところを開いてパラパラ読んでいるだけで、未だ通読したことはないが、太平洋戦争がいよいよ始まろうとする 1941 年あたりが一番興味深い様な気がする。摘録 断腸亭日乗〈上〉 (…
3/16 に読んだ。何回目かは分からない。 twitter での感想。 荒川洋治の紫陽社が出した井坂洋子の『朝礼』(1979)は、真っ青な背景にピンクの明朝体で大きく「朝礼」と書かれたシンプルかつインプレッシブな装丁で実にナイス! 中身は「朝礼」、「制服…
twitter で次のように発言したら、意外に RT が多くて、多くの人に読まれたようなので、ちょっと補足。「ネトウヨ=弱者」説と少し対応するといえる気がするが、米でも宗教右派が台頭したことを「宗教保守層=落ちこぼれ」説で説明する人がいたそうだが、実…