わが忘れなば

備忘録の意味で。タイトルは小沢信男の小説から。

2013-01-01から1年間の記事一覧

飯山雅史『アメリカの宗教右派』(2008、中公新書ラクレ)

3/12-13 で読んだ。再読だったし、『知って役立つ キリスト教大研究』を読んでプロテスタントの教派について情報を仕入れた直後だったので読みやすかった。 本書の内容は、1) 福音派と呼ばれる層を支持層とする「宗教右派」の成立に至るのアメリカのキリスト…

桜庭コハル『みなみけ』3巻(2006、講談社)

3/10電車中に読んだ。 2 巻->1 巻->3 巻とやや変則に読んでしまった。 パジャマ・パーティの話が特に面白かった。次女かなと三女チアキの同級生(内田やマコちゃん)との関係が面白かったので、次巻以降でも掘り下げられることを期待している。 姉妹間、同級…

八木谷涼子著『知って役立つ キリスト教大研究』(2001、新潮 OH! 文庫)

3/8-3/9で読んだ。 著者は、プロフィールによると「キリスト教の教派とその専門用語に多大な関心を持つ。T・E・ロレンス研究家」とある。 432 ページで、キリスト教の各教派の履歴と特徴について分かりやすくまとめ、翻訳上の注意事項、関連する小説や映画の…

ゲリー・ウィルズ著・北沢栄訳『リンカーンの三分間‐ゲティスバーグ演説の謎』(1995、原著1993、共同通信社)

3/4-3/7で読み終わった。有名なリンカーンのゲティスバーグでの追悼演説(1863)を思想的・文体的な観点から分析した本。 まずそもそも、リンカーンの有名な演説が 272 語、わずか3分間の演説だったこと自体知らなかったので、そこからして驚き。当然、全文を…

はてなダイアリー始めた

読んだ本の感想を全部付けてくつもりで始めました。読書時間は、朝夜の電車内と歩行中、入浴中と寝る間の 1-2 時間くらいしかないので、多読は望むべくもない。

アンスコム「トルーマン氏の学位」 (1/2)

イギリスの哲学者、G.E.M.アンスコムと原爆投下を批判したアンスコムの論文「トルーマン氏の学位」について知ったのは、三浦俊彦『戦争論理学』(二見書房)と加藤尚武『バイオエシックスとは何か』(勁草書房)を読んだとき。(どちらを先に読んだかは、忘…

批評や批判が自分に当てはまることを”ブーメラン”で例えたのは、花田清輝が最初!?

よく、批判が発言者にも当てはまってしまうことや発言者自身にこそふさわしい批判をしてしまったことを風刺して「ブーメラン」という表現を使うのをインターネット上の論争などで見るけれど、(ぼくのTL上でも昨日、一昨日と一回ずつ見た)いつごろから使われ…

”政治家”昭和天皇の政治的意思と能力―”立憲君主”の”戦争責任”

前回の記事について、twitter上で Kodama Shigeaki( @takosantaro )さんに永井和『青年君主昭和天皇と元老西園寺』(京都大学学術出版会,2003)とApeman さんのブログ記事を、また id:Apeman さんからもコメント欄にて、Apeman さんのブログ記事における…

昭和天皇による田中義一内閣倒閣‐半藤一利『昭和史』をもとに

張作霖爆殺事件の責任者の処分を巡って、昭和天皇が田中義一首相を辞職に追い込んだ経緯について、半藤一利『昭和史』(平凡社ライブラリー、2009、親本は平凡社、2004)をもとに簡単にまとめます。同書の第一章「昭和は”陰謀”と”魔法の杖”で開幕した‐張作霖…

ネオコンへの傾倒ぶりに驚き、戸塚ヨットスクール擁護には吐き気を覚えた‐鮎川信夫『時代を読む』を読んだ

週刊連載文春コラムの1982-85分、100篇を収めた鮎川信夫(1926-1986)『時代を読む』(1985、文藝春秋)を久々に読んだ。時代を読む―鮎川信夫・コラム批評100篇 1982~1985 (1985年)作者: 鮎川信夫出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 1985/04メディア: ?この商品…

『水野成夫の時代』

という本の存在に気づいていませんでした。近いうちに入手して感想を書きたいです。 やはり一番気になるのは、「財界の秘密組織」こと「共同調査会」の詳細ですが、『メディアの支配者』でも詳しいことはもう分からないような事が書いてあったので、期待はし…

『ナボコフの文学講義』からカフカ「変身」講義の感想

むかし、TBSブリタニカから出ていたナボコフの『ヨーロッパ文学講義』が、『ナボコフの文学講義』として河出文庫から上下巻で復刊された。原題は"Lecture on Literature"なので、今回の訳題の方が原題に忠実なタイトルだ。ナボコフが"Strong Opinions"で語っ…

田中角栄について二点メモー田中の憲法・再軍備観とロッキード陰謀論

ちょとしたきっかけで、田中角栄について、何冊か読み漁ったので、気になったことを忘れないうちにメモ程度にまとめておきたい。(最近読んだことをすぐ忘れる。)読んだのは、次の諸著作だ。 早野透『田中角栄 戦後日本の悲しき自画像』(中公新書,2012) …

元731部隊の研究者への科学者による批判-上平恒『水とはなにか』感想

以前、731部隊について勉強したことをまとめて、一部ブログ記事にしたが、防疫給水部が設立されるまでの経緯を書いたところで力尽きてしまった。気にはなっていいるのだが、常石敬一の『医学者たちの組織犯罪ー関東軍第七三一部隊』(朝日文庫、1999、親本は…

若き日の花田清輝を自伝執筆のための秘書として雇っていたというイー・トンハ氏ってどういう人物?-『別冊新評 花田清輝の世界』感想

花田清輝は、ぼくの大好きな批評家で、このブログの最初の記事でも『冒険と日和見』(増補版、1973年、創樹社)を取り上げている。一時期ちょっと読んでない期間があったけれど、最近になって、未読だった『近代の超克』や『恥部の思想』を読んだら、やはり…

「切腹」「芸者」「日本語は抽象思考に向かない」などのステレオタイプの日本・日本人観には、疑問だが、戦争指導者・知識人に対する批判は、辛辣かつ的確。-ロベール・ギラン『日本人と戦争』感想

ロベールギランの『日本人と戦争』(根本長兵衛、天野恒雄訳、朝日文庫、1990)、昔読んだ本で印象に残っていたが、別の本を探して本棚を漁っていたら出てきたのでを読んだ。1938-46の期間日本にいた(帰れなかった)フランス人ジャーナリストが書いたアジア太…

”風の生涯”水野成夫のフィクサーぶり

先月(2012年12月)の日本経済新聞の「私の履歴書」欄は、元首相の森喜朗が書いていたが、産経新聞に入社するにあたって社長の水野成夫(1899-1972)に口利きしてもらったというエピソードがあった。 水野成夫のことは、同じく日本経済新聞に昔連載されていた…