3/8-3/9で読んだ。
著者は、プロフィールによると「キリスト教の教派とその専門用語に多大な関心を持つ。T・E・ロレンス研究家」とある。
432 ページで、キリスト教の各教派の履歴と特徴について分かりやすくまとめ、翻訳上の注意事項、関連する小説や映画の紹介などがなされている。なめらかで読みやすい筆致で、予備知識をほとんど仮定していないのですらすら読めた。
紹介されている主な教派は次のよう。
- 東方正教会
- ローマ・カトリック教会
- ルター派
- 聖公会
- 改革派/長老派
- 会衆派/組合派
- バプテスト
- メソジスト
- ペンコステ派
- メノナイト派
- クエーカー
- ユニテリアン・ユニヴァーサリスト
- 救世軍
- 福音派&ファンダメンタリスト
正直なじみの薄かったプロテスタント各派について、分かりやすく解説されているので面白った。個人的には、一番リベラルな印象を受けたユニテリアン・ユニヴァーサリストの教義(神の単一性を唱えて三位一体を否定するので、異端扱いされることもあったらしい)と逆の印象を受けた福音派や改革派・長老派の教義に興味を持った。
索引や参考文献も充実しているので、小説とかを読んで気になったときやいろいろ知りたくなった時も便利だろう。辞書的なスペースに置いておきたい。
新潮 OH! 文庫、寿命が短かかった印象だけど、本書やいしかわじゅん『漫画の時間』、筑波昭『連続殺人鬼 大久保清の犯罪』などは傑作だったので存在意義あったという感想。