わが忘れなば

備忘録の意味で。タイトルは小沢信男の小説から。

アップしたのは、2016 年 6 月 17 日。

mixi に友達限定で、公開していたもの。

twitter にも書いたが↓、顕正会の勧誘(布教?)にあってしまった。正直あんまり愉快な体験ではなかったので、モヤモヤを吐き出して置くためにここに詳しく書いておく。

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書店にいたら、話かけてくる人がいて、世間話になって、喫茶店に行きましょうと言われたのでホイホイ付いていったら、もう一人出て来て、結局宗教(顕正会)の布教活動だった… あんまり、しつこくなかったけど、一時間弱くらい話を聞いて冊子と新聞を渡された。フワ〜。 <<

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顕正会(妙信講から改名したって)は、キリスト教イスラム教の神の存在は認めないのに、神道の神はいるっていうし、集団的自衛権には反対だけど、太平洋戦争はコミンテルンの陰謀だって考えてるそうだ。原発には反対だって。http://app.m-cocolog.jp/t/typecast/137000/122338/74601954 … <<

実は、↑は実際にあったのとは細部を変えて書いてある。実際には、↓のような出来事だった。

6/22に近所の書店で本棚を物色していたら、学生風の男性に話しかけられた。ここら辺で、もっと大きな本屋を知りませんか? とかそんな言葉が口切だったと記憶している。彼は池袋の専門学校の生徒で公務員を目指しているといった。しきりに世間話をして来て、電話番号の交換を求めてきたので、地方から上京して来て東京の友達が欲しい人なのか? とか思ったが、あまり考えずに教えてやった。近いうちにどこかで食事でもというが、月末まで忙しいと伝えて、メールでもしてくれと言って別れた。

7/7にその彼( O と名乗った。後で聞くとまだ18歳だった)から連絡があって会いたいというので了解したら、7/13の13時に池袋駅の西口で会う約束になった。で、行ってみたら、O の知人だという Y という男も現れた。こちらは、O よりだいぶ年上でスーツ姿だった。

なんだか変なことになったなと思ったが、呼んだのは向こうだし、特に考えず成り行きにまかせることにした。どこかで食事をしよう言われて、ファストフード店を二三軒回ったが、どこも混んでいてはいれなかったので、 O の提案で電車で移動して常盤台のパスタのチェーン店に行くことになった。

13 時に待ち合わせて、結局店に入ったのは14時近かったと思うが、移動中・食事中は、適当に世間話をしていた。おかしいと思ったのは、O や Y はこちらのことをやたら尋ねてくるのに自分たちのことはなかなかはっきりしたことを言わないことだ。例えば、そもそも二人はどんな関係なのか聞いても親同士の付き合いだとしか言わない。話を聞いてるとやけに共通の知人が多いようなので、同郷なのかと聞くと、O は葛飾で Y は川口だそうだ。そこそこ如才ない態度で代わる代わる絶え間無く話しかけてくるので、こちらもそれに答えて話しつづけてしまった。

そもそもなんでこんなとこにいるんだっけと思いはじめた何度目かの会話の切れ目に、O が「今日は、xx さん(ぼくの名前)にお話があるんです」と切り出して来た。

「xx さんは、仏法ってご存知ですか。」

「ぶっぽう?」と思わす聞き返してしまったが、さすがにこの時点では、すぐ新興宗教の勧誘だとは気付いたし、うわーそういうことか、と思った。

日蓮上人には、六人の弟子がいたんですが、彼らは一人を除いて日蓮上人を裏切ったんです。裏切らなかった一人が、日蓮正宗をつくったんです。」「僕たちは、昔、妙信講といった顕正会(けんしょうかい、といった。今まで、けんせいかい、だと思っていた)なんです。」「創価学会池田大作公明党を作ったんですけど、国立戒壇をつくるという約束を反故にしたんです。(公明党ができたのは、戸田城聖のときだろ、と反論したら、活動が本格的になったのは、池田大作のときだといわれた。)」「南無妙法蓮華経って知っていますか。ぼくは、毎日これを唱えているんです。」「実は、この近くに(顕正会の)施設があるんです。一緒に行きましょうよ。(マジか! ってことは誘い出されたってことか? )」とかすらすらと語り出した。南無妙法蓮華経を唱えると運が向くとか、彼は昔いじめられていたが、親の勧めで南無妙法蓮華経を唱えるようになったら、いじめっ子が翌日転校したとかそんな話もしていた。(なるほど、親同士が知り合いって信者仲間ってことだったのね。あと、なんで同郷でもないのに共通の知り合いが多いのかも分かったよ。)

こりゃ、いかん。こんなのに付き合う気にはなれないから、話しを終わらせられてさっさと別れようと思ったが、相手を怒らせてしまうのも怖いので「あっ、顕正会ですね。あの、広告とか出してる...」とか適当に返事をしてしまった。すると、「いや、広告は出してないですよ? 」と言われた。どうやら、親鸞会と間違えてしまったようだ。よく街中で見かける「神経症は君だけじゃない」とか書いてあるポスターを思い浮かべていた。(あとでネットで調べたら、このポスターは、親鸞会そのものじゃなくて分派らしい。)

このまま一方的に話を聞いているだけだとペースに巻き込まれるんじゃないか、適当に反論してなんでもいいから疑問を呈して興味がないことを示さないとマズイ、と思った。

南無妙法蓮華経を唱えると運が向くとかそんなことばかり言うので、じゃキリスト教を信じてる人は、運が向かないのか? とたずねると、先輩格の Y が「キリスト教は十字架に祈っているのがおかしい」とか「キリスト教はいろいろな宗教戦争を起こしてきた」とか「キリスト教(やイスラム教)の神は証拠がない」とか言い出した。じゃあ、神道についてはどう思ってんの? 神道は明治時代に廃仏毀釈で仏教を弾圧したんだから神道にも批判的なのか? と質問すると、「神道の神々はいる」と言い出す。「神道は、日本を戦争に巻き込んで結果敗戦してしまった。これは、仏教を国の中心にすえていなかったから。本来は、仏教が主で神道は従。主従関係が逆転していたのが問題だった」という。

さらには、「日本がアジアを侵略したというのは必ずしも正しくない。」「自虐史観だ。」とか右翼みたいなことを言い出した。

なんだそりゃ? こいつら右翼だったのか? と思っていくつか反論したら、マッカーサーは戦後アメリカの議会で日本は自衛戦争だったと発言したとか盧溝橋事件やゾルゲ事件コミンテルンの陰謀だったとか言い出したので、アチャーとなった。(しかし、天安門事件が盧溝橋事件の同時期みたいなこと言ったり、尾崎秀実の名前が出てこなかったり、満州中国東北部だと分かっていなかったり、別の意味でもアチャーだった。)ただこの人たちの知識の仕入先はネット右翼ではないみたい。ネットはほとんだやっていないとか世間話のときに言っていたので。

しかし、適当に反論したことで相手の気勢を削ぐことができたのがよかったのか、「そろそろ長居し過ぎましたし、もう外に出ましょう。実は、このあとも人に会う予定があるんですよ。」と言ったら、すんなり店を出ることができた。(このとき三時四十分くらい。)

そのあと駅前の広場で数分話をし、彼らの団体の作った日本の歴史に関する冊子と機関紙「顕正新聞」を渡されただけで分かれることができた。そのときはボディバックしか持っていなかったが、剥き身でその冊子を持って電車に乗るのはイヤなのでコンビニで買い物をしてビニール袋をもらってそれに入れて持って帰った。

意に沿わないことに時間を使ってしまったことも悔しいし、そもそもあとから考えてみるとあからさまにあやしいのにホイホイ付いていってしまったの自分がバカみたいでイヤな気分になった。ただ、あんまりしつこくなかったのとこの宗教に入らないと悪いことがおきる、的な脅しをかけられなかったのでまだしもだった。

家に帰って新宗教について書いてある本を何冊か見てみたが、別冊宝島『カルトの正体』(文庫版、2000)に顕正会の詳しいルポが載っていた。(続く)