わが忘れなば

備忘録の意味で。タイトルは小沢信男の小説から。

J.リチャード・ゴットIII「われわれの未来の展望に対するコペルニクス原理の含意」(1)

J.リチャード・ゴットIIIのImplications of the Copernican principle for our future prospects(Nature 363, 315 - 319 (27 May 1993); doi:10.1038/363315a0) 翻訳その(1)です。

この論文は、J.リチャード・ゴットIIIの『時間旅行者のための基礎知識』の第五章に出てくる未来予測法の出典にあたる論文です。

コメント、誤訳指摘、改訳案などお寄せいただければ、ありがたく存じます。

われわれの未来の展望に対するコペルニクス原理の含意

(要約)
ランダムな知的観測者であること仮定するだけで、われわれの種の存続する期間が、95% の信頼水準で、 0.2 万年から 8 万年の間であることが導かれる。続く考察は、われわれが銀河系に殖民できそうもないこと、われわれが知的存在の人口の中間値よりも多くの人口を有しているらしいことを示唆している。


コペルニクス革命によって、われわれは、特別な理由がない場合は、われわれが宇宙において特権的な位置を占めていると仮定することは間違いであるということを学んだ。ダーウィンは、起源ということに関しては、われわれは他の種より特別であるということはないということを示した。普通のスーパークラスタ内の普通の銀河系内の普通の恒星の周りを回るわれわれの位置は、ますます特別でないように見える。われわれが特別な位置にいないという考えは、宇宙論において重要なもので、ここから一般相対性理論における均一で等方的な Freedman モデルが導かれた。このモデルは、宇宙マイクロ波背景放射のスペクトルの予測という素晴らしい成功をおさめた。宇宙物理学においては、コペルニクス原理が役に立つ。なぜならば、知的観測者の存在する全ての場所について、宇宙には、わずかな特別な場所と多くの特別でない場所が存在し、われわれは、おそらく特別でない場所に住んでいるからだ。この考えを用いて、様々な観測可能なものの将来の存続期間を予測することができる。そのうちには、われわれの種の存続期間も含まれている。私は、さらに遠未来の、地球外知性探索(SETI)と宇宙旅行への応用を議論する。


デルタ t 論法
われわれが測定するものは何であれ、時点 t_{begin}t_{end} の間でのみ観測されうると仮定すれば、t_{now}
に何も特別なことがないならば、t_{now}は、この区間にランダムに位置していると期待できる。予測t_{future}=(t_{end}-t_{now})=t_{past}=(t_{now}-t_{begin}は、ほとんどいつも過大評価か、過小評価である。もし r_{1}=(t_{now}-t_{begin})/(t_{end}-t_{begin}) が 0と 1 の間を一様分布する乱数とすれば、0.025< r_{1}< 0.975である確率は、P=0.975 である。つまり、
\frac{1}{39}t_{past} < t_{future} < 39t_{past} (1)
(95% 信頼レベル)
となる。
同様に
\frac{1}{3}t_{past} < t_{future} < 3t_{past} (2)
(50% 信頼レベル)
式(1) の意味は、何か観測したものの過去の経過時間は、過去の災難に対する耐久性だけでなく、これから起こるそれを観測出来なくするような災難への耐久性への簡単な目安になっているということだ。なぜならは、式(1)が成り立つために必要な条件は、観測者としての位置が特別なものではないということだけだからだ。簡単に概観するために述べると、1961年に、私は始めてストーンヘンジ(t_{past}~3,868年)とベルリンの壁(t_{past}~8年)を見た。私が壁のランダムな目撃者であると仮定すれば、私はt_{begin}t_{end}の間の時間にランダムに位置していると期待される(t_{end}は壁が破壊されるか、誰も訪れなくなったときを指す)。壁は20年後に崩れたので、t_{future}=2.5t_{past}であり、式(1)の予測する95% 信頼限界の範囲内に収まっている。(P=0.95の)デルタ t 論法の応用は、ストーンヘンジが、24年後の今日も観測可能であることも正しく予測している(式(1)からt_{future} > 99年である)。1977年に、私はソ連(t_{past})を訪れた。その時代においては、ソ連の将来までの存続は一般的に信じられていたが、その後 14 年しか続かなかった(t_{future}=0.25t_{past}であり、式(1)の限界と整合的である)。式(1)は、私の訪問がソ連の崩壊を引き起こしたから、成り立つのではない。後になって、私の訪問が特別なものでないと分かったからだ。Nature は、123 年に渡って発行されてきた。(P=0.95の)デルタ t 論法は、将来の出版は、 3.15 年以上、4,800 年以下続くと予測する。

時間旅行者のための基礎知識

時間旅行者のための基礎知識

続きは、時期を見ておいおいと。(追記の予定あります)

人間原理、文献まとめ(1) Dicke、CarterからBarrow&Tipplerまで

 人間原理関係の文献まとめのその(1)です。George.F.R.Ellis,"Editorial note to: Brandon Carter, Large number coincidences and the anthropic principle in cosmology",gen Relativ Gravit(2011)43:3213-3223 をもとにまとめました。(DOI とかリンクとかは後で追記します)


Brandon Carter 「巨大数の一致と宇宙論における人間原理」(4)

Brandon Carter 「巨大数の一致と宇宙論における人間原理」(3) - わが忘れなばの続きです。

第五章 世界アンサンブルと重力定数

 最後の手段として、それ以上強い物理学的な言説がないときに、強い人間原理に基づいた予測を、「世界アンサンブル」という観点に立った思考による説明に昇格させることは、もちろん哲学的には、常に可能なことだ。この言葉によって私は可能な限りのすべての初期条件と基本的な定数(この二つの間の区別は、それほどはっきりしたものではないが、前者が本質的に局所的な性質に、後者が全体的な性質に関係している)によって特徴づけられる宇宙のアンサンブルを想定している。観測者として記述可能な生物の存在は、いくらか制限のかかったパラメータの組み合わせにおいてのみ可能であり、世界アンサンブル内のその部分は例外的な認識可能部分(コグニザブル・サブセット)として区別される。強い人間原理に基づいた予測は、考察されている性質は、コグニザブル・サブセットの全要素に共通の性質であるということを示しているとみなされるかもしれない。世界アンサンブルにおけるある種の基本的な事前確率を測ることが定義可能である条件の下では、コグニザブル・サブセットの"ほとんど"の成員で成り立つことを示すことで、もっと一般的な種類の予測をすることさえ可能であるだろう。

 (もちろん、もっと通常の種類の説明ができるという可能性に絶望してしまう理由は何もないが、)このような方法で説明できるかもしれない宇宙の性質の一つには、なぜ重力結合定数はこれほど弱いのか、というものがある。その説明につながる糸口は、さまざまな種類の星の全体的な性質が m_{p}^{2} の変化によって、質的な変化なしに、スケールアップないしダウンしている(J.Phys.34.c7-39,1973 で導出された図を見よ。)のに、重要な例外として、主系列星の質的に異なる(主に放射転送によってエネルギーを生産する)青色巨星と(主に対流によってエネルギーを生産する)赤色矮星への分裂があるいう事実である。これは本質的に電磁気結合定数e^{2}と質量の比m_{e}/m_{p}に関係している重力結合定数m_{p}^{2}の実際の値に依存している。

 質量の軽い主系列星が対流優勢であるのは、本質的に放射伝達では表面温度 T_{e}を臨界温度-Rydberg エネルギー \frac{1}{2}e^{4}m_{e} の10分の一かそれ以下-以上に挙げるのに十分でないからだ。それ以下では、イオン化と脱イオン化反応が断熱指数を下げ、その結果局所的な不安定が生じる。Hayashi によって初めて重要性が認識された過程によって、これが対流を起こし、温度が臨界温度より著しく低下するのを防ぐ。小さすぎない(放射圧優勢の)星では、(1)によって与えられる質量を持ち、(3)の導出のためにすでに言及しておいた Thomson 散乱公式によって、表面流 T_{e}^{4} のおおざっぱな推定

T_{e}^{4}\sim 10^{-2}e^{-4}m_{e}^{2}m_{p}T^{2}

が導かれる。ただし、T は中心温度であり、これは次のように大雑把に与えられる。

T\sim 10^{-2}e^{4}m_{p}

(水素燃焼に必要なクーロン障壁侵入に必要な温度から計算された。)イオン化エネルギーに比べて小さな T_{e} であることを避けるためには、

m_{p}\g \sim e^{12}(\frac{m_{e}}{m_{p}})^{2} (15)

が必要である。この条件は-かなり驚く駅偶然によって-満たされている。結果として重い(放射圧優勢な)主系列は事実上対流的であるが、小さい(冷却効率が自由―自由転移や束縛―自由転移によって Thompson の値よりも増加しているようなな)主系列星は圧倒的に対流的である。もし重力定数が(15)で与えられる値よりも小さかったのならば(あるいは、詳細な構造定数が微量しか増加していなくて、他のパラメータが固定であれば、)主系列星は完全に対流的な赤色星からできていただろう。逆に、もし重力結合定数がそれ以上に強かったら(あるいは詳細な構造定数がごく微量減少したら)主系列惑星は放射優勢な青色星からできていただろう。

 これは創造可能な世界のアンサンブルによって、重力結合定数の弱さが説明されたことを示唆している。星の形成は高度に対流的なな林トラック相の存在に依存しているのだろう。(惑星形成の理論はいまだに確立していないのだから、このような考えは高度に思弁的なものであるが、しかし、大きな星では角運動量の方が対流よりも保持しているというような実験的事実と適合している。)もしこれが正しいのなら、強すぎる重力結合定数は星の形成や観測者の存在に相応しくなかっただろう。世界アンサンブルにおける事前確率を図って結合定数の値をおおむね1で受入れるものだったら、重力結合定数のケタを完全に説明したことになるだろう。

 類似のしかしもっと強力なことがらが、核物理学の基本的な定数への a priori な制限をかけることで言える。例えば、「強い」結合定数は、核子同士を結合させるぎりぎりの強さであるとことはよく知られている。もしこれが少し弱かったら、水素が唯一の元素であり、おそらく生命は誕生していなかっただろう。

 説明としてのこの種の予測を受け入れることができるかは、その人の世界アンサンブル概念への態度によって決まる。多くの宇宙が存在し、その中のひとつしかしることが出来ないという考えは、一見哲学的に望ましくないように見えるかもしれないが、 慮し論の内的な論理によって事実上必然である Everett の説(B.S.De Witt:1967,Phys.Rev.160,113 を見よ)にくらべてそれほど離れているわけでもない。Everett の説によれば、宇宙は、もっと正確には宇宙の状態ベクトルは、分岐し、どんなに上手く定義した観測者によっても、(すべてが等しく"現実"であるにも関わらず)一つしか知ることができない。この説は、私が記述しようと試みた世界アンサンブルの哲学ととても自然に適合するだろう。

 私は個人的にはもっと深い数学的な構造に基づく基本的な結合定数等の値の説明を聞くことができれば、もっと嬉しいのだが、それでも、強い人間原理によって諸パラメータに a priori な制限を加えることには意味があると考える。もし、このやり方によって厳密な限界がいつでも得られることが分かったのなら、もっと基本的な数学的な構造からの導出の試みが上手くいかなかった場合に、世界アンサンブルの哲学を真剣に取り上げるべき証拠となりうるかもしれない―好きではない人がいても。

議論
Icke あなたは、定数の値にのみ言及しました。あなたの考えでは、自然のこれらが何故定数であるのか説明できるのでしょうか? 

Carter もちろん、一旦、詳細な構造「定数」e^{2}や重力結合「定数」m_{p}^[2}がある宇宙と別の宇宙で変化する可能性を受け入れたのなら、一つの宇宙で変化する可能性も考慮することができます。しかしながら、(多くの物理学者同様)私も観測事実に適合するもっとも単純なモデルをもとに考えることを好みます。そこでは、時空間における特定の量を事実上の定数として扱っています。(比m_{e}/m_{p}や電磁気結合定数e^{2}については、非常に小さな変化にも反対する強力な証拠があります。重力結合定数m_{p}^{2}についてはもう少し証拠が薄いといえます。 Brans Dirac 理論によって提唱された小さな変化は完全には排除されていません。)

 量子的な、e^{2}m_{p}^{2}が世界アンサンブルにおける Everett-Hilbert 空間における演算子として扱われるような、観点からすれば、どんな宇宙においてもこれらが定数であることは、多分、それらが他のすべての「物理的」演算子と関係しているという超選択則から導かれるでしょう。この様な規則は宇宙の全電荷 Q のような演算子と関係している標準に理論においては既になじみ深いものです。

ひぃー、やっと訳し終わりました。(図は省略しております)分からないところが多かったので、ご意見・ツッコミなどおまちしております。。後日、疑問点などを整理するつもりです。

Brandon Carter 「巨大数の一致と宇宙論における人間原理」(3)

Brandon Carter 「巨大数の一致と宇宙論における人間原理」(2) - わが忘れなばの続きです。

第四章 強い人間原理による予測

1961年の議論で Dicke が言及しなかった別の a priori に可能なことがある。即ち、もし宇宙が閉じていれば、現在の年齢 t は、既にほとんど全生涯 \tau と等しいかもしれないというものだ。まったく一般的に、(3)の下では、明らかに、

 \tau \g \sim m_{p}^{-3}、 (5)

が成り立たなくてはいけない。後者の場合、つまり、ケタが等しいという意味で、等号が成り立つ場合、(4)はもはや成立せず、(2)の代わりに別の一致 \tau \sim m_{p}^{-3} を得ることになる。観測によって検証されない(たとえ有限であったとしても、\tau は(5)によって得られる程度の小ささということはありそうもない)ということを別にしても、この後者の可能性は、もう一つの(2)とくらべて本質的にありそうもない、と考えられる。なぜなら、これは、宇宙におけるわれわれの位置をかなり厳しく制限しているだけでなく、宇宙それ自身の基本的なパラメータ(この場合は、寿命 \tau)への制限を示唆しているからである。

 しかしながら、不可避的な弱い予測 (5) にしても、基本的な宇宙論的なパラメータに対して、重要な制限を課している。単純なホットビッグバンモデルにおいては、二つの基本的な宇宙論的定数 \eta\kappa を扱うのが便利である。これらは、黒体温度 T 、バリオン数(の平均二乗平方根n 、均一な空間のスカラー曲率 K を用いて、

\eta =\frac{n}{T^{3}}\kappa=\frac{K}{T^{2}}、 (6)

と定義できる。宇宙は全生涯において放射優勢であるわけではないと仮定すれば、(つまり、平均質量密度 \varrho への物質寄与 \sim nm_{p}T^{3} がある時点で放射寄与 \sim T^{4} を上回ると仮定すれば)そのとき全寿命 \tau

\tau \sim \eta m_{p}\kappa^{-3/2} (7)

となろう。(Friedmann 方程式 12 H^{2}+\kappa = 16 \pi \varrhoより)ただし、\kappaが負でないときに限る。そうなってしまうと、寿命は無限大となる。よって(5)から

\kappa \le \sim (\frac{\eta^{2}}{m_{p}})^{1/3}m_{p}^{3}、 (8)

が得られる。[この状況は、 \eta^{2} \le \sim m_{p} のとき必ず成り立つ。しかしながら、 \eta^{2} \g \sim m_{p}ならば、宇宙が常に放射優勢であるという可能性もある。その基準は、 \kappa \g \sim \eta^{2}m_{p}^{2} であり、(7) の代わりに、 \tau \sim \kappa^{-1} を得る。この場合、(8)を \kappa \g \sim m_{p}^{3} と置き換えることになる]

 条件(8)は、宇宙は(ということは宇宙の基本的なパラメータは)その生涯のどこかで、観測者の創造を許すようなものでなくてはならないという「強い」人間原理(強調、訳者)に基づく予測の好例である。デカルトをもじって言えば、'cogito ergo mundus tails est'。(我思う、故に世界はこのようである)

 この原理をさらに使うことで、銀河(これがなければ星の形成も、ということは生命も存在しない)は凝縮によって形成され、それ以外のところでは均質な背景の中での比較的小さい密度揺らぎから初まったという通常の仮説を受け入れたなら、\kappa下限を決めることができる。Lifshitzの先駆的な仕事(J.Phys.10.116,1946)以来、多くの研究によって、(1)密度の不規則性は、物質密度が優勢になり、温度 T が Rydberg イオン化エネルギー \frac{1}{2}e^{4}m_{e} の 10 の数乗以下に落ちて、その結果放射圧による物質の分裂が可能になるまで成長できないことと(2)揺らぎは、その時代の K が負であっても、\varrho の値に比べて非常に小さくなければ発達しないこと―さもなければ、揺らぎは宇宙全体と同じくらいの余剰運動エネルギー(Friedmann 方程式の H^{2} 項として表される)になってしまい、再凝集の段階に到達することなく、発散してしまうだろうから―が証明されてきた。これによって a priori な限界である

(-\kappa) \gg (e^{4}m_{e})(\eta m_{p})、 (9)

が得られる。ただし、不等式の強さは、仮定された初期の揺らぎの大きさに依存している。

 二つの限界(8)と(9)を組み合わせることで、(HawkingとCollins が言及した) Bondi の挙げた三つ目の「巨大数の一致」を導くことができる。三つ目の一致は、現時点での観測事実

 \varrho \sim H^{2}、 (10)

である。これは、(2)によって、Eddington の有名な関係式

nH^{-3}\sim m_{p}^{-3}、 (11)
[nH^{-3}\sim m_{p}^{-4}では?、訳者注]

と等価である。この式は、「観測可能な宇宙の粒子数」は重力結合定数の平方根の逆数に等しいと主張している。Friedmann 方程式によって、(10) と (11) はもっとずっと地味な条件と一致する。即ち、現在において、

 |K| \g \sim \varrho 、 (12)

である。これは、今度は、現在において成り立つ不等式

|\kappa|\g \sim (\frac{\eta^{2}}{m_{p}})^{1/3}m_{p}^{3}、 (13)

と等価である。(なぜなら、(2)によって \varrho \sim \eta m_{p}T^{3} \sim m_{p}^{6} )しかしながら、もし因子 (e^{4}m_{e}/m_{p})(\eta/m_{p}(\eta^{2}/m_{p})^{1/3} と比べて極端に大きくなければ、これは、 a priori な条件(8)と(9)から、直ちに得られる。(よって、(10)と(11)の導出が完成した)これは、大まかに言って、与えられた e^{2}m_{e}m_{p} の下で普遍因子 (\eta^{2}/m_{p})^{1/3} が 1 よりも極めて大きくはないという要請と同値である。事実、この条件は十分に満たされている。なぜならば、(現時点の観点からすれば、(10) や (11) よりもっとずっと驚くべき基本的な一致によって、)因子 (\eta^{2}/m_{p})^{1/3} はかなり 1 に近いと分かっている。よって、

\eta \sim m_{p}^{1/2}、 (14)

である。(正確な値は、「失われた」物質がどの程度あるのかという不確かさに依存している)

 まとめると、 \eta が(14)で与えられる値より非常に大きかった場合のみ、通常の理論に基づいて(10)と(11)がそうではないということが納得のいくものであったろう 。このことから、(10) と (11) が成り立つことは、 Dirac や Edinton の極めて普通でない理論を導入することを促す積極的な証拠とみなすことはできない、ということが分かる。

 しかしながら、(Dicke の用いた)弱い人間原理のみを用いた場合は完全に物理的な説明になるが、他方、強い人間原理に基づいた予測は、完全に厳密なであっても、物理学者の観点からは、十分に満足のいくものではない、というのは真実だ。なぜなら、予測された関係を説明するより深い理論が見つかる可能性が残っているのだから。だから、人間原理的予測 (13) は、例えば、通常の重力理論を覆す\kappa =0となるような枠組みの理論(c.f. Sciama: 1953, Monthly Notices Roy. Astron. Soc. 113, 34)の可能性(あるいはそれを求める探求)を排除するものではない。

ひぃ~、今回は分からないところが、多すぎで大変であった・・ 式(9)以降の三つ目のコインシデンスの導出は、あまり自信ないので、今後書き直したり、よく分からなかった点などを追記していきます。

次は、第五章(と末尾についている Carter と Icke との議論)を訳します。

Brandon Carter 「巨大数の一致と宇宙論における人間原理」(2)

 Brandon Carter 「巨大数の一致と宇宙論における人間原理」(1) - わが忘れなばの続きです。第二章と第三章を訳しました。

2.伝統的な種類の予測

Bondi のリストに挙がっている最初の「巨大数の一致」は、恒星の大きさや色には―白色巨星から赤色矮星まで(もっと最近では中性子星も)―さまざまな種類があるのに、その質量 M は必ず重力結合定数 m_{p}^{2}\sim 10^{-40}逆数と(10 の一乗か二乗の範囲内に収まるという意味で)同じケタ数を持つ、という観測事実だ。ただし、m_{p} は陽子の質量である。バリオンの総数を N \sim M/m_{p} と表したとき、この関係は次のようにあらわすことができる。

N \sim m_{p}^{-3}、 (1)

ここで、両辺ともに 10^{60} 程度の大きさである。Jordan(1947) はこの一致を説明するためには革命的な宇宙論的説明が必要だと考えたが、現在では拡散していたガス雲が凝集して恒星形成するという通常の理論によって予測できることを多くの人が知っている。基本的な考え方は次のようなものだ。恒星の原型は、不安定なので、分裂によって質量を失い続け、非相対論的なガスの圧力によって支えられることができる十分小さい単位に分かれるまで続く。そして、条件(1)が満たされたときそうなる。この点を超えると、恒星は安定になるので、これ以上の細分化は起きないのであろう。(私は、最近の記事 J.Phys.34,c7-39,1973. で、安定性の限界である式(1)を求めるための有名なスッテプを簡単にまとめておいた)


3. 弱い人間原理に基づく予測

二つ目の「巨大数の一致」は宇宙のハッブル膨張率が、10 の数乗の範囲で先ほどと同じ巨大数の逆数と等しくなるというものだ。つまり、

H \sim m_{p}^{3}。(2)

 Dicke (Nature 192,440,1961)は、もし宇宙の現在の年齢 t が純粋にランダムに決定されたものではなく、典型的な主系列星の寿命と同じケタ程度になっていそうであることを受け入れていたならば、この関係も予測することができていただろうと指摘した。これはもっともなことだ。なぜならもっと時間が過ぎれば、銀河にはエネルギーを生産する星がほとんどなくなってしまうし(しかも、残っているものも非常に少ないエネルギーしか生産しないだろう)、もっと前では(生命にとって不可欠に思える)重元素はできていなかっただろうからだ。太陽よりもいくらか大きい典型的な恒星では、冷却効率は Thompson 散乱によって決定し、光度は次の式でおおまかに推定できる。

L \sim e^{4}m_{e}^{2}m_{p}^{-1}

ただし、m_{e} は電子の質量で、m_{e}/m_{p}\sim 1/1830で、e^{2}\sim 1/137である。もし全質量エネルギーが利用可能なら、寿命はM/Lで与えられる。ただし、M\sim m_{p}^{2}である。実際に利用できるエネルギーの率 \sim 10^{-2} を考えると e^{4}(m_{p}/m_{e})^{2} は無視できるので、典型的な主系列星の水素が燃え尽きるまでの寿命が得られる。よって、宇宙の現在の年齢のおおまかな推定は、

t \sim m_{p}^{3}。 (3)

となる。この予測は、宇宙における我々の位置は、必ず、観測者としてのわれわれの存在を許すくらいに特権的であるという事実を考慮に入れておかなくてはならないという「弱い」人間原理(強調引用者)による予測のよい概観である。開かれた宇宙において(あるいは圧力が支配的な閉じた宇宙においても)式(1)によって与えられる質量を持った恒星は、Thompson 散乱の宇宙論によって、

H\sim t^{-1} (4)

となる。よって予測(3)からは(これ自体は、銀河の年齢の推定することで直接的に証明できる)、自然に(2)という宇宙論的関係が予測できる。

宇宙論の用語が分からなくて、訳すのに苦労しました。"Hubble fractional expansion rate"、"opacity"、"luminosity"の定訳をご存知の方、ぜひご教授ください!

次は、第四章を訳します。(全五章)

Brandon Carter 「巨大数の一致と宇宙論における人間原理」(1)

 人間原理を提唱した Brandon Carter の論文、"Large Number Coincidences and the Anthropic Principle in Cosmology - Springer"(1974)の序章("introduction")の翻訳です。ロバート・H・ディッケ 「ディラックの宇宙論とマッハ原理」―「物理学者を作るのに炭素が必要だということはよく知られているのだ」 - わが忘れなばのシリーズというつもりです

巨大数の一致と宇宙論における人間原理
Brandon Carter
Dept. of Applied Mathematics and Theoretical Physics, University of Cambridge, U.K.

1. 序章

Wheeler 教授は、私が一度(1970年のプリンストンでの Clifford 記念会議において)披露したことがあって、 Hawking と Collins が言及したことのある(Astrophys. J. 180, 317, 1973)ある着想について、記録のために何かを残しておくことを私に提案した。これは、私が潜在的にはたいへん実りのあるものだと信じている一連の思想のことであるが、もう少し発展させる必要があると感じていたために今まで書き残すことはなかったのだ。(実は、いまでもそのように感じている。)しかし、この機会に乗じて開陳してしまうのも、この考えが基本的に「コペルニクス原理」への行き過ぎた服従への反応であるのだから、悪いことではないはずだ。

 コペルニクスは、私たちが宇宙の中で特権的な中心位置を占めているということを、いわれなく仮定してはならないという非常に健全な教訓を教えてくれた。不幸なことに、これを、われわれの状況がどんな意味でも特権的でないという主旨のもっと疑わしいドグマに拡張しようという、強い(必ずしも無意識的ではない)傾向が今日まで続いている。このドグマ(これの極端な形式からは、定常理論の根拠となる「完全宇宙原理」が導かれるのだが、)は、(a) 我々の存在には、特別な好都合な条件(温度や化学的な環境など)が必須であること (b) 宇宙は進化しており、決して局所的なスケールでは空間的に均質であることはないことを受け入れれば、明らかに根拠が薄弱であることは、 Dicke (Nature 192,440,1961) によって指摘された。

 私自身のこの種のことに関する興味は、Bondi (1959)の著書 Cosmology を読んだことから始まった。そこでは、よく知られた「巨大数の一致」がいくつもの奇妙な理論(通常受け入れられている物理の保存側を破るようなものも含まれていた)を導入することの正当化として使われていた。その中には、例えば Dirac と Jordan の「変化する G」の理論があった。私は今では正反対のテーゼに同意している。即ち、これらの一致は、奇妙な理論の証拠となるようなものではなく、「通常の」(ビッグバン理論のような)物理学と宇宙論の内にあるものであり、原理的に観測に先立って予測できるものだ、というものである。しかしながら、これらの予測は、われわれが観測できると期待されるものは、観測者としてのわれわれの存在を可能にする条件に制限されるという人間原理と呼びうるものを必要とする。(われわれの状況は必ずしも中心ではないが、必ずいくらかは特権的である。)

 Bondi の挙げた三つの独立した一致は、三つのクラスの理論的な予測を概観するのに便利である。
(1) 伝統的な類のもの-人間原理は使わない。
(2) 「弱い」人間原理のみを用いるもの。
そして、
(3) 拡張された(そのためにもっと疑わしい)「強い」人間原理の創設を必要とするもの。
これらの例を説明するにあたり、私は全ての物理量に対して、無次元の単位を使う。即ち、ニュートンの定数 G、光速 c、Dirac-Plank 定数 \hbar は1とする。

 次は、二章と三章(全五章)を訳す予定です。

ロバート・H・ディッケ 「ディラックの宇宙論とマッハ原理」―「物理学者を作るのに炭素が必要だということはよく知られているのだ」

 ロバート・H・ディッケの論文"Dirac's Cosmology and Mach's Principle" (Nature 192, 440 - 441 (04 November 1961), doi:10.1038/192440a0) の翻訳です。[]内は訳注です。

 論文といっても、 1 ページ強の「編集者への手紙」("Letter to editor")です。

 「人間原理」(the anthropic principle)のはじまりとなった論文として名高いものですが、もともとはポール・ディラックの「巨大数仮説」に反論した内容です。

この論文に関する日本語の解説としては、三浦俊彦『論理学入門』の第二部があります。

 「巨大数仮説」については、『ディラックの現代物理学講義』に、ディラックが1975年にシドニーで行った講演が入っています。

ディラック現代物理学講義 (ちくま学芸文庫)

ディラック現代物理学講義 (ちくま学芸文庫)

ディラックの宇宙論とマッハ原理

 {m_{p}}をなんらかの素粒子、[値を]確定するために、ここでは陽子の質量としたとき、無次元の重力結合定数[dimensionless gravitational coupling constant]

{\frac{G {m_{p}}^{2}}{\hbar c}\sim 5 \times 10^{-39}} (1)

は、あまりに小さな数値なので、その重要性[significance]が長く疑問視されてきた。 Eddington1は、これを含むすべての無次元の物理定数は簡単な数学的な表現で評価できるのではないかと考えた。Dirac2は、このような奇妙な数値は、必ずや他の同程度のサイズの数値と関係があり、宇宙の構造[structure of the universe]を特徴づけているだろうと考えた。しかし、大半の物理学者は(1)のような無次元の定数は、自然[Nature]によって与えられたものであり、[他の数値から]計算することはできず、どんな形でも他の数値とは関係していないと信じているようである。

 Dirac は大半の物理的、宇宙物理的な無次元の定数は、10^{40}という数値の(正または負の)整数乗のケタを持っていると指摘している。ここで、{m_{p}/m_{e}\sim 1,800}{\hbar c/e^{2}\sim 137}といった数値はヒトケタつまり10^{40}の0乗のケタだといえる。彼は、一見関係のない巨大な数が、偶然一致してあらわれるということはありそうもないと考え、なんらかの未知の因果関係[unknown causal connexion]が存在すると[いう説を]提案した。

 そのような巨大数[large numbers]の一つに

{T\frac{m_{p}c}{\hbar}}\sim 10^{42} (2)

がある。ただし、{T}は宇宙のハッブル年齢(the Hubble age of the universe)である。進化する宇宙では、{T}は時間とともに変化する。このことから、Dirac はすべての巨大数は、時間とともに、{T^{n}}の変化に対して、{(10^{40})^{n}}とともに変化すると考えた。Dirac[2] はこの着想に基づいて宇宙論を構築し、Jordan3 は、Dirac の宇宙論に対応する適切な相対性理論を導出した。

 三つの主要な巨大数[The three principal large number]は、式(1)、(2)および観測可能な宇宙の質量によって与えられる。[三つ目の巨大数である宇宙の核子数は]次のように、

{\frac{M}{m_{p}}\sim 10^{80}=(10^{40})^{2}} (3)

と表される。[M は観測可能な宇宙の質量である]Dirac の仮説のよれば、これらの三つの数値は、それぞれ時間の-1乗、1乗、2乗にともなって変化するはずだ。

 Dirac の仮説の正当化には、三つの数値(1)、(2)、(3)の間に関係があるということ以上の仮定が必要であることを指摘しておこう。加えて、三つの数値の見かけの相互関係[apparent interconnexion]が、時間とは独立であることも仮定しているのである。この仮定は統計的な考察によって検証しうるだろう。もし現在の{T}の値が概念的に、{T}の広い範囲の可能な値からランダムに選択したものだとみなすことができるのなら、この現在の「選択」の事前確率[a priori probability]は非常に小さなものであり、偶然に三つの数値の間に上で見たような関係が生じたというのはありそうにないといえる。三つの数字の相互関係がはっきりしていないときに、この種の考察で Dirac の仮説が支持されるためには、{T}が非常に広い領域から選ばれたものであり、事前確率が非常に小さいものであることが不可欠である。

 宇宙が進化していることを仮定すれば、{T}を膨大な範囲の数値のなかから選ぶことは許されず、人類の活動期という生物学的な要請を満たすように、ある程度限定された値しか取ることができないということを示そう。

 これらの(生物学的な)要請の内のうちには、宇宙は、つまりは銀河系も、水素以外の元素を存在させるのに十分な時間がたっていなくてはならないということが含まれる。物理学者をつくるのに炭素が必要だということはよく知られているからだ。 (強調、翻訳者)

 銀河系は、最初水素だけから成り立っていたことが分かっている。だから人類の活動期の開始までの最小の時間は、水素以外の元素が最短寿命の恒星の内部でつくられて、星の死によって[宇宙に]ばら撒かれるまでの時間によって決定される。

 人類の活動期の上限は、恒星を巡っている惑星が、人間が生存できるような環境にある時期によって決まる。この時間は恒星が、核反応によってエネルギーを生産できる最長の年齢によって決まる。比較的重くない恒星では、重力収縮は、中心温度が核反応が起きるまで高温になる前に、電子の縮退圧が開始することによって止まる。最も寿命の長い恒星の質量は、電子の縮退圧が核反応温度で起きると仮定することで計算できる。これによって、{M_{s}}の下限を決めることができる。ただし、{M_{s}}は恒星の質量である。

{\frac{M_{s}}{m_{p}}\sim 10^{-3}(\frac{\hbar c}{G{m_{p}}^{2}})}^{3/2}(4)

ただし、ここでも{m_{p}}は陽子の質量とする。前に述べたケタの定義によって、10^{-3}は1と等しいとみなされ、この数値は(10^{40})^{3/2}のケタである。

 上記の質量を持つ恒星の寿命は、

{T_{max}\sim (\frac{m_{p}}{m})^{5/2}(\frac{e^{2}}{\hbar c})^{3}(\frac{G{m_{p}}^{2}}{\hbar c})^{-1}\frac{\hbar}{m_{p}c^{2}}}(5)

となる。ただし、{m}は電子の質量である。'1とみなせる数値'['unity factor']を無視することにより、

{\frac{m_{p}c^{2}}{\hbar}T_{max}\sim (\frac{Gm_{p}^{2}}{\hbar c})^{-1}}(6)

となる。これは、式(1)および(2)と整合的である。同様に、星の安定性という要請から、{T_{min}}も決定でき、同じケタの数値となる。よって、われわれのもともとの仮定に反して、Tは可能な広い領域からの'ランダムな選択'ではなく、物理学者の存在という基準によって制限されるのである。

 二つの問題が残っている。なぜ重力結合定数はこんなに小さな値なのか? なぜ式(3)の平方根は式(1)の逆数とほぼ一致するのか? この二つの疑問はマッハ原理の導入によって解決される。マッハ原理による説明4-6によれば、重力結合定数は固定された値ではなく、宇宙の質量分布によって、次のように定まる。

{\frac{GM}{c^{3}T}\sim 1}(7)

式(7)と(6)を組み合わせることで、式(1)と(3)を組み合わせた表現が得られる。

 重力定数が小さいことへの答えは、宇宙には非常に多くの物質があるということである。これは十分な解答ではないかもしれない。完全に十分な回答が得られるためには、質量の生成が解明されることが必要である。

 Dirac の宇宙論には、統計的な支持がないことが分かった。しかしながら、現在物理学者が存在していることとマッハ原理の正当性を支持することで、三つの式(1)、(2)、(3)によって与えられる数値のケタの関係という要請を満たすには十分である。

R.K.DICKE

 Palmer Physical Laboratory,
Princeton University,
New Jersery.

[1] Eddington, A. S. , Theory of Protons and Electrons (Cambridge Univ. Press, 1936).
[2] Dirac, P. A. M. , Proc. Roy. Soc., A, 165, 199 (1938).
[3] Jordan, P. , Schwerkraft und Weltall (Braunschweig, 1955).
[4] Sciama, D. W. , Mon. Not. Roy. Astro. Soc., 113, 34 (1953).
[5] Dicke, R. H. , Amer. Scientist, 47, 25 (1959).
[6] Brans, C. , and Dicke, R. H. , Phys. Rev., 124, No. 3 (1961).

 続けて掲載されたこの論文に対するディラックの応答です。

 Dicke は三つの宇宙論に関わる数値について議論している。(1)は、重力結合定数を決定する。(2)は宇宙のハッブル年齢を決定する。(3)は、宇宙の粒子数である。これらは次のような関係にある。(1)はおおまかに(2)の逆数である。(3)はおおまかに(2)の二乗である。私は、これらの関係は自然の基本的な何か[something fundamental in Nature]に対応しているのではないかと考えた。宇宙の進化に伴って、(2)は時間と共に変化するので、(1)や(3)も時間と共に変化するはずであろう。

 Dicke は、(1)と(3)の間の基本的な関係はマッハ原理に従うものであると考えている。しかし、(2)は独立であり、(1)と(3)はおそらく定数であると考えている。そして、彼は、惑星が[人間にとって]生存可能であるという条件を考慮すれば、(2)がおおまかに現在の値を取らなければならないことを示した。この仮定の下では、居住可能な惑星が存在するのは非常に限られた期間だ。私の仮定の下では、将来まで[居住可能な惑星は]存在し、生命は終わるとは限らない。

 これらの仮定からどちらかを選択するための決定的な説明はない。私としては終わりなき生命の可能性を許容する仮定の方を好む。いつの日にか誰か、直接的な観察によって疑問が決着することを望む人もいるだろう。そのためには、{10^{10}}分の{1}の精度で(1)を測定し、数年後にまた測定を繰り返し、値の変化を調べる必要があるだろう。

P.A.M. Dirac

St. John's College,
Cambridge.

「物理学者をつくるのに炭素が必要だということはよく知られている」のところで、笑いました。